値上げ前に駆け込み 「第三のビール」10箱まとめ買いも

10月の酒税改正で値上がりする第三のビールの売り場=30日午前11時15分、金沢市内の酒量販店

  ●県内の量販店、スーパー

 10月1日からの酒税改正で、「第三のビール」の店頭価格が上がるのを前に、石川県内の量販店や食品スーパーで30日、駆け込みでまとめ買いをする人が見られた。10月からは食用油やペットボトル飲料など4500品目以上の食品も値上がりするため、各店は割安な商品を打ち出したり、売り場づくりを見直したりし、「値上げの秋」に備えている。

 金沢市上荒屋1丁目のヤスブン御経塚店では、午前9時のオープンから「第三のビール」を3ケース、4ケースとカートに積み込む客の姿が相次いだ。

 酒税改正で、ビールや発泡酒に比べて割安だった「第三のビール」の税額は、350ミリリットル当たり約9円上がる。店頭価格も同程度上昇する見通しで、350ミリリットルが24本入った1ケース当たりでは200~300円高くなる。

 原田慎治店長は「週末の29日からまとめ買いが急増し、中には10ケースを一度に購入する人もいた」と話す。店では10月以降、価格を抑えたプライベートブランド(PB)をアピールして客離れを防ぐ狙いだ。

 第三のビールの値段が上がる一方、ビールの税額は350ミリリットル当たり7円弱下がる。石川、富山などに食品スーパーを展開するアルビス(射水市)の店舗では、値下がりするビールの「買い控え」が見られる。担当者は「客のニーズに対応して売り場を見直していく」と話した。

 金沢市富樫1丁目のニュー三久泉が丘店では、第三のビールの特設コーナーを設置してアピールしている。このほか、値上がりするペットボトル飲料などをまとめ買いする人もいたという。

 普段は第三のビールを1ケースずつ購入するという野々市市の50代男性は3ケースをまとめ買いし、「あらゆる食品が値上がりして厳しい。なるべく安い商品を探して買い回りしている」とため息をついた。

 ★第三のビール 酒税法上、ビールや発泡酒に属さないビール風味アルコール飲料の通称。現行法では「その他の発泡性酒類」に分類され、大豆やトウモロコシなどを主な原料にした製品と、発泡酒に麦由来のスピリッツを加えたものとに大別される。

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