中国、刑事犯罪が20年で倍増 「世界一安全」も刑務所は過密化

中国貴州省にある刑務所=2021年(共同)

 中国で刑事事件の犯罪者数の増加が止まらない。当局は殺人や誘拐といった凶悪犯罪が減ったとして「安全は世界最高水準」とアピールするが、治安対策のための摘発強化や組織犯罪の増加を背景に、刑事裁判にかけられた人は20年前に比べ倍増。刑務所の過密化や運営の質の低下も指摘され、再犯を防ぐ更生の役割を十分に果たせないのではないかとの懸念が出ている。

 「わが国の犯罪率は世界最低だ」。最高人民検察院(最高検)幹部は今年、過去20年余りで扱った事件のうち凶悪犯罪の割合は大幅に下がり、軽犯罪が大半になったとして「99%の人民が安心と感じている」と誇った。

 中国政府は近年、国防費を上回る予算を社会秩序維持のために投入し、治安や秩序を脅かしたとして摘発される人が増加。一方、サイバー犯罪や特殊詐欺など組織化された複雑な犯罪も増え、刑事裁判で審理された人数は2001年の約74万人から21年には170万人超に膨らんだ。日本で00年代に刑法犯の認知件数が減少したのと対照的に、中国では右肩上がりが続く。

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