インボイス制度10月1日始まる 消費税の納税手続き変更

インボイス制度の開始に備え、個人タクシーの車内に貼られたステッカー=30日午後、大阪市

 消費税のインボイス(適格請求書)制度が10月1日始まった。納税の手続きが変わり、消費税の納税を免除されていた零細事業者やフリーランスは制度に参加して新たな税負担を受け入れるか、発注元からの取引減や値引きを覚悟で参加を見送るか、選択を迫られる。反対の声は根強く、まだ対応を決めかねている人も多い。一方、発注元の企業では経理の事務負担増に懸念の声も上がる。

 インボイスは消費税の10%と8%の複数税率に対応した請求書類で、税率ごとに区分した消費税額などを明記して、納税額を正確に計算できるよう導入された。下請けの業務や商品の納入などを受注した事業者は、請求書や納品書、領収書、レシートなどにこうした情報を記載して発注元の事業者に対して発行する。

 ただ制度に参加してインボイスを発行できるのは消費税の納税義務のある「課税事業者」だけで、これまで売上高1千万円以下で消費税を免除されていた「免税事業者」は対象外。制度に参加するには課税事業者に転換しなければならず、新たな税負担が生じる。

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