「高岡発ニッポン再興」その101 電動のシャトルバスを提案したが・・・

出町譲(高岡市議会議員・作家)

【まとめ】

・「高岡駅」は、飛騨、越中、能登などへの旅行客の「玄関口」。

・新高岡駅と高岡駅を結ぶ電動シャトルバスが必要、と質問。

・市は、路線バスがあるので、必要ないとの見解。

北陸新幹線「かがやき」の定期便の件の続きです。私が住んでいる高岡市の新高岡駅にとまらず、なぜ小松駅に止まるのか。高岡市と小松市。同じ県内第2の都市なのに、なぜ違いがあるのか。その疑問を抱いて、私は今回の高岡市議会9月定例会に臨んだのですが、批判ばかりしていても前進はありません。

そこで提案しました。角田市長は、「飛越能」の玄関口としての存在感を高めたいと指摘なさっています。飛越能というのは、飛騨、越中、能登を指します。併せて60万人の人口がいます。富山県西部だけでなく、飛騨や能登などへの旅行客の「玄関口」という位置づけです。

それなら、角田市長は率先して、「飛越能」の関係自治体のトップと連携して、行動すべきだと私は考えます。そこで質問しました。今回のJRの発表を受けて、「飛越能」の関係自治体トップと一緒に、JR西日本および東日本の本社に赴き、かがやきの停車を求める緊急要望をだすべきだと考えるが、当局はどう思っているのでしょうか。

答弁は、今まで、「かがやき」停車の要望活動を展開しているから、今回、緊急要望という形では、新たに動かないというのです。

今回、かがやきの定期便の停車駅が発表されてた翌週には、JR西日本の金沢支社を訪問し、運行計画の内容など意見を交換するとともに、市長から金沢支社長に対し、『かがやき』の停車についても、改めてお願いしたというのです。

さて、北陸新幹線の敦賀までの運行に伴って、今後、観光客の増加が見込まれています。そこで新高岡駅の利便性についてお聞きします。駅の中には、バスのりばの看板があります。瑞龍寺、山町筋、金屋の方面は①②番と記されていますが、末尾に小さな文字で「すべて高岡駅方面を経由します」と書かれています。旅行者がこれをみつけるのは、極めて困難です。

▲写真 高岡駅のバス乗り場の表示板(筆者提供)

私は今回、南口のバス停で改めて時刻表を見ました。時刻表は路線バスのもので、極めて分かりにくくなっています。「高岡駅南口⇒高岡駅前経由」と書いてありますが、その下には、「新守山・氷見方面」、「伏木方面」、「城光寺方面」となっています。さらに具体的な行き先が細かく、書かれていますが、これでは、観光客はどのようにして高岡駅に行くのか、戸惑います。

▲写真 高岡駅のバス乗り場の時刻表(筆者提供)

敦賀から新大阪の開業は、現在の政府・与党の動きを踏まえると、当初予定の2046年から前倒しされ、2030年代になる見込みです。私は今こそ、新高岡駅と高岡駅を結ぶシャトルバスが必要だと思います。電気自動車にして、おしゃれなものにすべきなのです。

今年は、国土交通省が公共交通の再構築元年と位置付けています。今年度、省エネ性能の高い、先進的な車両を導入する自治体に対して2分の1補助する制度を設けました。公共交通の「再構築」に向けた予算なのです。ポストコロナを見据えた環境整備するためだとしていますが、来年3月16日の北陸新幹線敦賀開業に向けて、ぴったりのタイミングだと思います。そこで質問をしました。新高岡駅と高岡駅を結ぶ、先進車両のシャトルバスを導入する考えはあるのでしょうか。

その答弁は、路線バスがあるので、必要ないとの見解でした。新高岡駅から高岡駅間では路線バスが1日あたり最大70往復運行されているというのです。

その上で、こんな答弁が返ってきました。電動のバスなどの補助金制度の存在は知っているが、「国内での運行実績や長期にわたる運行事例が少なく、安定的な運行に資する整備体制や部品供給といった点で、ノウハウの蓄積を持つ必要もあると考えており、今後の全国的な動向を注視していきたい」。

つまり現状で十分で、やらないというスタンスなのです。

トップ写真:新高岡駅(筆者提供)

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