福井県警とヤマップ、山岳遭難事故備え連携協定 登山届や遭難者の位置情報共有、救助迅速化に期待

協定書を手にするヤマップの矢島さん(右)と福井県警の齊藤部長=9月29日、福井県警本部

 山岳遭難事故の発生に備え福井県警は9月29日、無料の登山地図アプリを運営する「ヤマップ」(福岡市)と連携協定を結んだ。登山届や遭難者の位置情報が共有され、救助の迅速化が期待される。協定は福井が18府県目。

 アプリは電波が届かない山中でも衛星利用測位システム(GPS)で現在地が表示され、家族などと共有できる。アプリ利用者が遭難した場合、位置情報をヤマップが県警に提供し、速やかな救助につなげる。

 登山者の連絡先や登山ルートを記した登山届は、登山口にあるポストに入れるか、警察に郵送するなどして提出するが、手間がかかることが課題だった。協定によって、登山者はアプリを通じて登山届を県警に提出できるようになる。県内で昨年起きた19件の山岳遭難事故のうち、登山届が提出されていたケースはゼロだっただけに、協定によって改善が期待される。

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 県警本部で協定式があり、県警の齊藤誠一郎生活安全部長が「遭難の未然防止に向けた啓発、迅速的確な捜索救助活動の推進に努めたい」とあいさつ。ヤマップの矢島夕紀子プロジェクトリーダーは「アプリを過信し過ぎず、予備バッテリーやコンパスなどを準備して、素晴らしい福井の山を楽しんでほしい」と話した。

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