【サンセバスチャン共同】スペイン・サンセバスチャンで9月30日、欧州で権威のある映画祭の一つとして知られる第71回サンセバスチャン国際映画祭の授賞式が開かれ、コンペティション部門で近浦啓監督の映画「大いなる不在」に出演した俳優の藤竜也さんが最優秀主演俳優賞を受賞した。日本人の同賞受賞は初めて。
「大いなる不在」はコンペティション部門とは別に、地元の文化団体アテネオ・ギプスコアノから優れた作品だとして賞を授与された。
藤さんは授賞式で、観客の反応に感銘を受けたと話した後「映画よ、ありがとう」と語りかけると、会場から大きな拍手が上がった。
映画は北九州市が舞台で、藤さんが演じる認知症を患った元大学教授と、長年疎遠になっていた俳優の息子の姿を描く。息子は森山未来さんが演じた。他に真木よう子さんや原日出子さんらが出演。日本では2024年に上映予定。
藤さんは共同通信に、観客の温かい視線や笑顔を見て「映画っていうのは国籍とか異なる文化の壁を通り越して普遍性を持つ時があるんだと痛感した」と話した。