【速報】ボクシング4団体統一チャンプ同士の激突!カネロvsチャーロ弟の対決結果は?

世界スーパー・ミドル級の4団体統一王者のサウル・カネロ・アルバレスに、世界スーパー・ウェルター級4団体統一王者のジャーメル・チャーロが挑戦したが、カネロの堅い防御とパワーの前に、跳ね返された。試合結果は、カネロの3-0の12回判定勝ち。

[Premier Boxing Champions on Instagram: "@TwinCharlo addresses fighting @terencecrawford in the future. Is that a fight you want to see? #CaneloCharlo"]

試合結果

現在のカネロの主戦場であるS・ミドル級のタイトルマッチ(S・ミドル級に最適化された体重での闘いであり、チャーロ弟からすると、普段のクラスから2階級≒6キロも重いクラスへの挑戦→普段はS・ウェルター級ゆえ約70キロ。S・ミドルは約76キロ)であろうが、ミドル級の兄貴の代役と言われようが、この試合が正真正銘のスーパーファイトであり、多くのボクシングファンが待ち望んだ一戦であることは間違いがない。チャーロにとっても待ちに待ったスーパーファイト。否が応にもモチベーションはあがっていることだろう。
この数年間ボクシング界を牽引してきたのは、間違いなくカネロ・アルバレスであり、チャーロ弟もまた 一敗こそしているものの、リターンマッチでそのお返しをキッチリして、無敵のチャンピオンぶりをリング内外に示した真の強者だ。今回の戦いの相手であるカネロには、ビボル戦での敗北以来調子を落としている、あるいは衰え始めている?という悪評も立っている。チャーロにとっては、この上ないチャンスだ。首尾よくカネロに勝てば、次のスーパーファイトの話も引き寄せやすくなる。
しかしながら、チャーロの強さ、思惑は、カネロに対しては通用しなかった。
速いフットワークでカネロの強い圧力と強打をかわしながら、ジャブを打ち込み遠い間合いを取り続けようとチャーロ陣営は目論んでいたようだが、その作戦は ビボル戦以降の悪評を打ち消そうと考えるカネロには通用しなかったのである。

チャーロのジャブは、鋭く、正確だったが、カネロを下がらせることはできず、カネロの追い足の早さに、チャーロは逃げきれず、ブロックの上からカネロの強打を浴び続けることになったのだ。

まともにヒットした打撃は、2人ともそれほど多くはな異様に見えたが、カネロの猛打はジャッジを含み見ている者に強い印象を与え続けた。
さらに、第7ラウンドには、カネロの右がチャーロ弟のガードを擦り抜け、テンプルにヒット。チャーロは我慢しようとしたものの、耐えきれず膝をついてしまったのだ。

7R チャーロがダウン www.instagram.com

結果として、チャーロの頑張りはカネロのプレッシャーに通じず、フルラウンド(12ラウンド)持ち堪えたものの、3-0の判定でカネロの圧勝ということになったのだった。

タイソンよりうえ?のカネロの資質

前にも比較したことがあるが、カネロ・アルバレスはかつての無敵ボクサー マイク・タイソンに似ている。背は低いが(ヘビー級としてはかなり小柄なタイソンは180cm程度、カネロはウェルター級でも小さめな、173cm前後だが)、共に筋骨隆々で首も太く実に雄大な体格である。そして、2人とも、常に相手をノックアウトしようとするケレン味のないスタイルで知られている。
しかし、2人の闘い方そのものは全く違う。
間合いを一気に詰め、飛び込みながらパンチを振るうタイソンに対してカネロはジワジワと間を詰める。遠くから一気に間合いを詰めて、強烈かつ速い攻撃を繰り出すタイソンに対して、カネロは腕を高く上げで顔面を守りながら相手にプレッシャーをかけ、ロープに詰めてから強打を叩き込むやりかただ。タイソンの速さには劣るが、カウンターを喰らわないようにガードを上げながらカネロは距離を潰していく。初期のタイソンはピークアブーと呼ばれるようにガードを固めた上で(グローブの親指を噛んでいたと言われる)、大きく頭を振りながら突進していた。
カネロは両腕で相手の攻撃をブロックしながら、間を詰める。詰めたうえで(できればコーナー、最低でもロープを背負わせて)左フックを主体とした強打を振るう。相手に当たる距離で、ガードの上からでも強く叩く。相手がその威力にビビればよし、最低でも(前述のように)ジャッジにアピールできる。それがカネロのやり方なのである。

特に、一度の敗北から打たれ弱さが露呈してしまったタイソン(というか、ヘビー級の一撃に耐えうる人間はいないらしいが)に対して、タイソンよりは軽い階級で4階級制覇を果たしたカネロは、堅いブロックキングもさることながら、打たれ強さに定評がある。単に防御が巧みなわけではなく、そもそもタフといえるのだ。だから、カネロを下がらせるには軽いジャブ程度では足りないのである。

チャーロは足を使ってカネロのプレッシャーを避けながら、ジャブでカネロを下がらせる作戦をとったのだが、カネロは下がらなかった。カネロにとっては勝手知ったるS・ミドル級だが、チャーロ弟には未知の世界。S・ウェルターなら相手を下がらせる彼のジャブだが、繰り返しているように、本物のS・ミドル級のカネロを後退させることはできなかったのである。それが、いちばんの チャーロ陣営の計算違いであり、チャーロの敗因となったと思う。

とは言っても、カネロとの試合を経たチャーロ弟には、まだもともとの(4つの!)スーパー・ウェルター級のベルトが残っているし、今後の彼の存在価値が軽減したわけでもない。今後、さらなるビッグファイトの機会を得られるチャンスもあるだろう。

これを機に階級を(ミドル級に)あげるのでは?と言われる彼だが、その階級には双子の兄のジャーモールがいる。彼と2人で団体を分け合うのもいいが、それではカネロに迫るスーパースターにはなれないだろうし、チャーロ兄弟も、カネロと同じ1990年生まれの33歳(2023年10月現在)。それほど長いボクサー人生が残っているわけではないチャーロ兄弟としては、これからの対戦相手の選び方に頭を悩ませることになるだろう。
(逆に言うと、チャーロ兄弟の は、カネロとまったくの同世代であるということになってしまうのかもしれない)

株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。dino.network発行人。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。

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