《山陽道トンネル火災》中国道迂回促進へ2種のクーポン施策展開 通行止め解除は年末から年明けか

山陽自動車道尼子山トンネル火災で下り線が長期通行止めとなる中、中国自動車道への広域迂回促進策として、NEXCO西日本は9月28日から、サービスエリア(SA)/パーキングエリア(PA)で使える、2種類のクーポン発行を展開しています。

なお、尼子山トンネル内ではコンクリートが火勢により部分的に強度低下などの脆弱化が確認され、NEXCO西日本では更なる調査および復旧計画の詳細を詰めていくとしていて、通行止め解除は2023年末ないし24年明けになる可能性も出てきています。

クーポン施策

クーポンは、「みちトク迂回クーポン」(9月28日13:00開始)と「レシート電子クーポン」(10月2日00:00開始)の2種類です。

「みちトク迂回クーポン」は、中国道吹田JCT=中国池田IC間リニューアル工事長期通行止め時に新名神への迂回促進策として、2020年5月から提供されているスマホ専用アプリで、対象範囲に、中国道下り線神戸三田IC以東または山陽道下り線から播磨道経由→中国道広島北JCT以西および岡山道経由岡山JCT以遠を加えるものです。GPS機能を許可した上で対象範囲を走行すると、1回につき一律500ポイントが貯まります。なお、上り線の走行、中国道下り線吉川IC→千代田IC間で流入/流出した場合や、米子道および浜田道での流出時にはポイント付与対象外となります。
1ポイント=1円換算で、100円、200円、400円、800円の4種類のクーポンと交換可能となっています。クーポンは関西・中国地区のSA/PAのショッピングコーナー・コンビニで利用可能ですが、レストラン・フードコート・飲食店舗(券売機)・ガスステーションは対象外となっています。なお、新名神迂回キャンペーンのポイントとも併用可能ですが、9月28日13:00から配信されている、専用アプリのアップデートを実施する必要があります。

「レシート電子クーポン」は、関西地区の対象SA/PAのショッピングコーナーで買物時に発行されるレシートに印字されたQRコードをスマホなどで読み込むと、中国地区の対象SA/PAのショッピングコーナーで、税込1000円以上の買物時に利用可能な200円割引の電子クーポンが取得できるというものです。
この電子クーポンは取得すれば何回でも利用可能となっています。ただし、レシート発行および電子クーポン利用可能なのはショッピングコーナーのみで、コンビニ・レストラン・フードコート・飲食店舗(券売機)・ガスステーションは対象外となっています。

「みちトク迂回クーポン」と「レシート電子クーポン」は一度の買物で併用はできません。対象のSA/PAも一部異なっていますので、詳しくは下記を確認してください。

山陽道尼子山トンネル火災経過

<9月5日>
・01:08頃出火→20:08鎮圧、6日17:30鎮火

・トンネル内で大型トラックから出火、運転手にけがなどなし
・避けようとした後続の乗用車やトラックなど10台追突事故、8人病院搬送
・トンネル内に煙が充満、神戸市消防局から出動したブロアー車を14:00過ぎから稼働し排煙作業展開
・車両23台(うちトラック19台)焼損、20:08鎮圧状態となるも、トンネル内が数百度の高温となったため、一時的に消火活動を中断し、6日朝から再開、40時間強後の6日17:30鎮火確認
・トンネルの7割程度が損傷

・尼子山トンネル(下り線)は全長592m、全長や交通量から国土交通省が定めるトンネル等級では5段階のうち上から2番目のAで原則設置の消火器/消火栓/給水栓などは設置も、必要に応じて設置のスプリンクラーや排煙設備は非設置
※NEXCO西日本でのスプリンクラー設置は全長3000m以上で対面通行方式などの場合、排煙設備設置は全長1500m以上を原則としている

<9月6日>
・NEXCO西日本がプレスリリースでトンネル内画像掲載、「甚大な被害」により「復旧には相当の期間を要する見込み」と記載

<9月7日>
・朝からトンネル内の安全確認を予定も、一酸化炭素充満により断念

<9月8日>
・15:00
 「山陽道トンネル内火災事故に対する交通マネジメント検討会」第1回WEB開催
 国道2号などの渋滞状況を検討、中国道への広域迂回呼び掛け強化など展開へ

<9月11日>
・10:30頃
 兵庫県警高速隊が実況見分開始、車両の焼損状況などを確認
・20:00
 上り線(西行/赤穂IC→播磨JCT間)6日半ぶり通行止め解除

<9月13日>
・14:30
 「山陽自動車道 尼子山トンネル火災事故技術検討会」第1回開催
 トンネル覆工(内壁)コンクリートの物理的・化学的な調査実施を了承→第2回検討会で復旧計画を審議へ
・15:00
 「山陽道トンネル内火災事故に対する交通マネジメント検討会」第2回WEB開催
 ポータルサイトの更なる内容充実、ラジオCMやi-highway登録利用者へのメール配信機能を活用し、道路利用者へ情報提供強化へ

<9月28日>
・14:00
 「山陽自動車道 尼子山トンネル火災事故技術検討会」第2回開催
 トンネル覆工コンクリートが部分的に強度低下などの脆弱化を確認
 復旧方針を審議し早急な工事着手を確認→第3回検討会で調査結果の追加報告及び詳細な復旧計画に基づく作業状況の確認を予定

・通行止め解除まで少なくとも3か月程度との報道も、また、上り線での対面通行検討も、通行規制を伴った安全対策が必要な上に、恒常的な渋滞発生が予測されることから、実施しない方針

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