【ベトナム】マツキヨがハノイ進出、日本ブランドで攻勢[商業]

マツモトキヨシがビンコム・メガモール・タイムズ・シティーに出店した=9月29日、ハノイ

ドラッグストアチェーン大手マツモトキヨシは9月29日、ベトナムの首都ハノイに初出店した。同社は2020年10月に消費の中心地である南部ホーチミン市にベトナム1号店を開設し、同市内で6店を開設したが、今後はハノイにも店舗網を広げる。化粧品や健康食品などに日本ブランドを取りそろえることで競合他社と差別化を図り、24年までに15店舗程度に拡大する戦略だ。

1号店はハイバーチュン区の商業施設「ビンコム・メガモール・タイムズ・シティー」でオープンした。周辺には住宅開発大手ビンホームズによるマンションが立ち並んでおり、中間層による消費を見込む。

店舗面積は170平方メートルで、日本のマツキヨの平均的な店舗よりは小さい。ベトナムでは規制上、医薬品を販売できないため、化粧品やサプリメントなどの健康食品を中心に扱う。同じモール内には、香港系「ガーディアン」などの競合店も入居しているが、プライベートブランド(PB)商品を含めた日本ブランドで集客を図る。

日本ではマツキヨはベトナム人観光客による免税での買い物が人気で、訪日ベトナム人の購買データをハノイでの品ぞろえに生かす。洗口液を購入した20代の女性は「少し高いが品ぞろえが豊富。店もきれい」と語った。

マツキヨは、食品製造や外食業を手がける地場ロータス・フード・グループとの合弁会社マツモトキヨシベトナムを通じて20年にホーチミン市に進出した。進出当初はコロナ禍で店舗の営業ができなくなり苦戦したが、ここに来て出店のペースを速めている。近くハノイで2店目を開き、ベトナムでの店舗数は24年までに10~15店舗に増やす計画だ。

合弁会社の宮岡弘樹最高経営責任者(CEO)は、「コロナ禍でベトナムの消費者の健康や美容への意識は高まっている。日本ブランドのチャンスは広がっている」と力を込める。今後も高品質の商品を拡充する方針だ。

マツキヨは海外ではベトナムのほか、タイ、台湾、香港に出店している。

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