【マレーシア】首都で日本酒試飲イベント、19蔵が出品[食品]

「ダジン・シップ・フェスト2023」のプレビューイベントで鏡開きし、乾杯する高橋大使(中央)や蔵元の関係者ら=9月29日、クアラルンプール(NNA撮影)

日本酒を中心に酒類の輸入販売を手がけるマレーシアのダジン(大今)・ビバレッジズは、9月29日~10月1日に首都クアラルンプールで日本酒の試飲イベント「ダジン・シップ・フェスト2023」を開催した。同社が日本酒の試飲イベントを開催するのは初めて。日本の蔵元19蔵が40銘柄以上を出品した。

同イベントはバンサー地区の飲食店が集まるエリア「APWバンサー」で開催され、19蔵のほか、日本酒を提供する飲食店などが出展した。9月29日のイベント開幕前に開催されたプレビューイベントには、高橋克彦駐マレーシア日本大使も出席した。

高橋大使はスピーチで、「日本では地域ごとの気候やコメ、水、こうじを生かして500年以上にわたり多様な日本酒が作られており、日本政府は『伝統的酒造り』を国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産に提案している」と日本の酒文化について説明。また、今年8月に東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出が開始されたことに言及し、「この日本酒試飲イベントを通じて、日本産食料品の安全性を示していきたい」と述べた。

同イベントに出品した楯の川酒造(山形県酒田市)は、ダジンと提携してマレーシアに日本酒を輸出している。同社の小畑直美氏(海外販売責任者)は、「現在、香港や中国本土への輸出が中心となっているが、マレーシアの日本酒市場も今後拡大していくとみている」と話し、輸出拡大への意気込みを示した。

ダジンを通じて日本酒を販売する東マレーシア・サラワク州のグッドネス・サケ・エンタープライズの代表者は、「コメを原料とする日本酒は、東マレーシアの地酒『トゥアック(tuak)』と親和性が高く、受け入れられやすい」とコメント。「若年層の間ではビールよりもワインの人気が高まっており、日本酒を普及させる余地が十分ある」との見方を示した。

プレビューイベントで日本酒を試飲する招待客ら=9月29日、クアラルンプール(NNA撮影)

2022年の日本からマレーシアへの日本酒輸出額は6億2,500万円で、前年の2倍近くに達した。マレーシアはアルコールが禁忌のイスラム教徒(ムスリム)が人口の6割を占めるが、中華系を中心に需要が拡大している。ただ、マレーシアのアルコール飲料市場における日本酒のシェアはまだ1%未満にとどまっており、伸びしろがあるとみられている。

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