茨城DC開幕 観光ムード、県内包む 体験型、各地で催し続々

奥久慈茶の足湯を楽しむ観光客ら=大子町西金

大型観光イベント「茨城デスティネーションキャンペーン(DC)」が1日、開幕した。県内各地で、普段は入場することのできない施設の見学ツアーや自然、歴史資源、特産品を活用した地域色あふれる企画など、多彩な体験型の観光が繰り広げられた。地域の恒例イベントでもDCに合わせた特別企画が展開され、12月末までの3カ月間、これまでにない観光ムードが茨城県を包む。

■奥久慈茶の足湯満喫 大子

茨城県大子町西金では1日、地元有志らが例年春季と秋季に限定開設する「湯恵(ゆめ)足ゆ」が始まった。DCに合わせた特別企画として、奥久慈茶の足湯を無料提供する。訪れた観光客らは、鉄釜から注がれたお茶の香り漂う温泉や周囲を包む豊かな自然に癒やされた。

足湯は11月末までの土・日曜と祝日に無料開設。住民らによる「大子町西金源起会」(小野瀬康弘会長)が2017年に地域の源泉を生かし、手づくりで湯船や東屋を設置、春と秋の季節限定で提供してきた。

奥久慈茶は、同町で緑茶を製造販売する「かねた園」が提供した。小野瀬会長は「DCに合わせた地域ならではの企画。県内外から誘客を図りたい」と意気込む。

常陸大宮市から仲間と訪れた杉山一男さん(77)は「お茶の香りでとても癒やされる」と堪能していた。

■戦争遺跡の地下要塞公開 笠間

同県笠間市旭町では1日、筑波海軍航空隊記念館がDCの一環として戦争遺跡「地下戦闘指揮所」を特別公開し、東京や沖縄、福島など県内外の46人が見学した。78年前の日本の苦境に思いをはせて、「忘れてはいけないこと」と感想を口にする人もいた。

地下戦闘指揮所は、東京ドーム38個分に相当する旧航空隊の敷地内で、同記念館(旧司令部庁舎)から1.2キロほど南にある。先の大戦末期の1945年2月、本土決戦に備えて要塞(ようさい)化された半地下の建物だ。奥行き約30メートルの通路2本、6~16畳半の部屋5室、通信室からなる。

東京から妻、娘と家族3人で訪れた須田雅彦さん(59)は、同市内での栗拾いのついでに立ち寄った。須田さんは「自分は戦争遺跡に関心がある。戦争の映画をやったりするときは人々の注目が集まるけれど、普段は忘れられてしまう」と話し、感心した様子だった。

■カエルに扮しレース 筑波山ガマまつり

同県つくば市筑波では1日、第75回筑波山ガマまつり(同実行委、つくば観光コンベンション協会主催)が開かれた。交通規制された筑波山門前通りを走る「ガマレース」のほか、DCを記念してガマガエルや緑をテーマにしたコスプレイベント「GAMAランウェイ」が初めて企画された。会場周辺は、カエルの姿に扮(ふん)した子どもやその家族、観光客らで熱く盛り上がった。

ガマレースでは小雨の中、元気なガマたちが懸命にゴールを目指して走った。参加したつくば市の米谷葵ちゃん(3)は「疲れたけど頑張ってゴールできてうれしい」と笑顔で話した。人気アニメ「ケロロ軍曹」とコラボした企画やグッズ販売も行われた。

同まつりは、ガマの油を生み出したとされる筑波山中禅寺の光誉上人の供養や、筑波山観光振興などを目的に始まった。

「地下戦闘指揮所」に入り、見学者(右)に説明するスタッフ=笠間市旭町
「筑波山ガマレース」で懸命に走る子どもたち=つくば市筑波

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