なつぽいが見つけた〝最強〟の答え 中野たむ撃破で5☆STAR GP有終の美を飾る

スターダムのシングル最強決定リーグ戦「5☆STAR GP 2023」最終日となる横浜武道館大会が30日に行われ、〝妖精〟なつぽいはワールド王者・中野たむを撃破した。10分54秒、フェアリーストレインで3カウントを奪取。〝最強ロード〟を掲げた今夏。「私はスターになる!」と答えを出し、白ベルトことワンダー王座戴冠を狙いに定めた。

こぶしを握り、勝利の味をかみしめる妖精の姿があった。「やり合ってた時とは違った、新しい景色が見えました。赤いベルトの王者になった中野たむ、そして最強ロードをこの夏、歩み続けたなつぽい。全力で上を目指してきた二人だからこそ、前回の金網、後楽園とはまた違った試合ができたような気がします」。昨年の遺恨マッチ2試合を経て、同ユニットの盟友となった両者が力を出し尽くした。

互いの空中技をいなし合う序盤戦から一転、なつぽいが場外でジャーマンを決めれば、たむは激しいエルボーでヒザを着かせた。厳しい消耗戦の中、たむのバイオレットスクリュードライバーを寸前で切り抜けたなつぽいが、回転蹴りを顔面に決め、ダルマ式原爆固めの必殺技で3カウントを奪った。優勝決定戦進出の望みが絶たれて迎えた最終戦を白星で締め、首位に1点及ばない11点で終えた。

アクトレスガールズ時代にライバル関係だった安納サオリが今年スターダムに参戦したことを契機に意識が変化。7月に安納とのストラップマッチに敗れ、強さを求めてセンダイガールズ(仙女)の〝怪物〟橋本千紘との対戦を熱望し、一騎打ちを実現させたことで〝最強ロード〟への決意が固まった。

印象的に残る一戦は仙女の7・16後楽園大会での橋本戦。「努力の塊なんだと思った。積み重ねた努力があるからこそ、恵まれた体だけではない自信につながった、最強のプロレスラーでした」と振り返った。敗れたものの〝最強〟への意識を高めて、7・23大田区大会からの5☆STARに突入したことで、新たな気付きを次々に得た。

「いろんな〝最強〟に出会いました。フィジカルの最強もいれば、懐の深い最強、心の広い最強、最悪な最強もいる。いろんな最強がいた中で、私は一番輝くスターという最強を目指すべきだと思いました。欲しい目標も見つけました。白いベルトです」

現在MIRAIが保持するワンダー王座を狙いに定めたなつぽい。スピード、独特のタイミングで技が繰り出される華やかさ、受けの強さなど、その実力には定評があったが、自らが目指すべき〝最強〟に答えを出した。学びの多かった夏を終え、スターを目指す秋へと歩みを進める。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

© 株式会社神戸新聞社