500年前にタイムスリップ!? 精巧すぎる武家屋敷ジオラマが話題 室町時代の細川家邸宅

精巧すぎる武家屋敷のジオラマがSNS上で大きな注目を集めている。

「およそ1ヶ月半かけて洛中洛外図から立体化を試みた室町期武家屋敷が完成しました。一度は住んでみたい回遊式庭園が特徴的な武将細川氏の邸宅。」

と件のジオラマを紹介したのは宗秀斎さん(@sousyuusai_ar)。

まるで室町時代にタイムスリップしたよう?(宗秀斎さん提供)

このジオラマのサイズは幅600mm、奥行500mm高さ150mm。モデルは室町時代に足利将軍を補佐した細川京兆家の邸宅で、当時の京都市街、郊外を描いた洛中洛外図屏風・上杉本を参考に描いたということだ。

室町幕府の管領を務めた細川京兆家の邸宅(宗秀斎さん提供)

建物はもちろん庭園の木立、池までまるで500年前にタイムスリップしたかのようなその迫力に、SNSユーザー達からは

「すごい‼️
その場にいるようです」
「いつ建物から人が飛び出してきても、おかしくないぐらいにリアル!
実は室町時代にドローンを持ち込んで撮影したのでは!?」
「この画像の裏にどれだけの努力が合ったことか
凄い!」

など数々の驚きの声、称賛の声が寄せられている。

宗秀斎さんにお話を聞いた。

ーー今回の製作を思い立ったきっかけをお聞かせください。

宗秀斎:数年前に趣味で日本の寺院仏閣などの古建築模型を製作しているのですが、その中で 古絵図や資料から失われた武家屋敷の姿を立体化することで、当時の風景を具現化する面白さを感じていました。

そこで思いついたのが室町・戦国時代の京都で暮らす人々の風景を描いた洛中洛外図屏風でした。元来、室町・戦国時代の歴史に興味を持っていたので、屏風の中で大きく強調されている室町・戦国武将の屋敷部分に着目し、当時の中世時代の武家邸宅がどのような姿であったのか、そこで暮らす武将はどんな人物であったか、など歴史を振り返りながらイメージを膨らませることのできるストーリー性あるジオラマにしたいと考えました。

ーー製作のこだわりやご苦労についてお聞かせください。

宗秀斎:現存しない建築物を再現する上で必要なのは資料収集ですね。ジオラマを作るにはベースとなる洛中洛外図屏風に加えて、研究論文で示された配置復元図を頼りに建物を立体化する必要があります。立図面に起こさなければいけないので、絵図に描かれた時代の近い現存する寺院仏閣の方丈や御殿などの建造物に可能な限り足を運びました。そうやって撮影した写真を絵図と比べながら外観や屋根など類似点を探りながら図面に起こすという作業が一番苦労した点です。

また、技巧的な点で苦労したのが、寺院仏閣に見られる棟から軒先に向かい反った独特の曲線屋根の形状の表現でした。これを再現するために型紙を使って何度も試作しながら形にしていきました。建築ジオラマは見下ろして観賞するため、どうしても建物の屋根に目線がいきがちです。よって屋根部分が最も目立ちますし、屋根の形一つで建物全体の印象が変わるので特に神経を使いました。

注水前だがすでにたまらないクオリティ(宗秀斎さん提供)

ーー投稿の反響へのご感想をお聞かせください。

宗秀斎:失われた室町・戦国時代の武家屋敷の姿を古絵図から再現することで、その時代背景の歴史やそこから生まれる想像することの楽しさや CGと違った模型ならではの手作り感の良さを共感して頂けたことに製作意義を感じました。

また、日本の古建築や風景の魅力やそれにまつわる歴史など知りつつ想像しながら名所や観光地に足を運ぶ楽しさを感じて頂けたら嬉しいです。

◇ ◇

ジオラマは現在、具体的な予定はないものの「他作品も含め、可能な限り展示する機会を設けていきたい」とのこと。ご興味ある方は今後の宗秀斎さんの発信をチェックしていただきたい。

ジオラマ作家/宗秀斎(sousyuusai)

1977年生まれ。京都市出身。京都造形芸術大学卒業。上京し広告制作会社勤務を経て京都へ帰洛。趣味で始めた模型・ジオラマの世界に魅了され、現在は故郷の京都で失われた室町・戦国期の大名屋敷や現存の寺院仏閣・茶室など 日本古来の風景をジオラマ・模型で再現。

Xアカウント:https://twitter.com/sousyuusai_ar

ブログ:https://ameblo.jp/sousyuusai

お問い合わせ先:bluesky2033city@yahoo.co.jp

(よろず~ニュース特約・中将タカノリ)

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