奈良のシカ、保護施設で虐待か 獣医師が通報「十分な餌与えず」

 奈良県は2日、奈良公園周辺の山間部に生息する国の天然記念物「奈良のシカ」の保護に取り組む「奈良の鹿愛護会」の施設内で、十分な餌を与えていないなどと、同会の獣医師から8月に通報があったと発表した。県は調査チームを立ち上げ、事実関係を確認している。

 愛護会は取材に対し「虐待はない」と反論している。

 愛護会の保護施設「鹿苑」(奈良市)では、農作物に被害を与えたシカなど約240頭を「特別柵」と呼ばれるエリアに収容。獣医師は特別柵のシカに十分な餌が与えられていないと主張するのに対し、愛護会は「十分に与えているが、ストレスを抱え衰弱してしまう」と説明している。

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