【MLB】 戦力と経験値で上回るレイズ レンジャーズ対レイズのワイルドカードシリーズ展望!

写真:プレーオフで無類の強さを誇るレイズ・アロザレナ

MLBは全162試合の日程を終え、明後日4日(日本時間)からプレーオフに突入する。プレーオフの第一ステージは、3つのワイルドカード進出チームとリーグ勝率3位の地区優勝チームの計4チームで行われるワイルドカードシリーズ。それを一つずつプレビューしていくこととする。

99勝を挙げてワイルドカード1位でプレーオフに進出したタンパベイ・レイズと、シーズン最終戦で惜しくも地区優勝を逃したテキサス・レンジャーズが激突するシリーズは、全シリーズの先頭を切って4日4時8分(日本時間)からスタートする。

既に発表・予想されている先発のマッチアップは以下の通り。

第1戦 レンジャーズ:ジョーダン・モンゴメリー vs. レイズ:タイラー・グラスナウ
第2戦 レンジャーズ:ネイサン・イオバルディ vs. レイズ:ザック・エフリン
第3戦 レンジャーズ:アンドリュー・ヒーニー vs. レイズ:アーロン・シヴァーレ

先発マッチアップは、投手再生工場として知られるレイズにやはり有利なように見える。

5月末から戦列復帰し、キャリアハイレベルのシーズンを送ったグラスナウ、故障者続出のローテーションを守り続けたエフリンの1、2番手コンビは双璧。さらにブルペンも後半戦に抜群の支配力を発揮し、後半戦の奪三振率10.18はメジャートップだ。守護神ピート・フェアバンクスを筆頭とする、利き腕もタイプも多様なブルペン陣をメジャー屈指の戦略家であるキャッシュ監督がどのように操るか。

対するレンジャーズは1戦目のモンゴメリーにかかる負担と期待が大きい。モンゴメリーは直近4先発のうち、3先発で7イニングを投げ、計27イニングでわずか2失点。失速にあえぐチームをプレーオフまで導いた立役者ともいえる。しかし、それ以降は2戦目のイオバルディが9月防御率9.30と乱調(それ以前は2.69)。そして162試合目にチーム最多勝のデーン・ダニングを送り込んだものの、敗れてワイルドカードシリーズを回避できなかった影響も響くかもしれない。さらにレギュラーシーズンは絶望となりながらもプレーオフでの復帰を目指していたマックス・シャーザーも28日以来ブルペンを回避しているといい、ワイルドカードシリーズでの復帰は難しいだろう。(『ダラス・モーニング・ニュース』)

そしてよく言及されている通り、レンジャーズの最大の弱みはブルペン。ブルペンはシーズン通してメジャーワーストタイの33セーブ失敗を記録している。161試合目に好投したアンドリュー・ヒーニー、162試合目にリリーフで好投したマーティン・ペレス、そしてここにきて抜群の安定感を発揮しているホセ・レクラークらを頼りに投手陣を運用していくしかない。

続いて打の比較に移るが、ここは両者ほとんど互角、レンジャーズの方がやや上回っているポイントだ。

レイズのチームOPS、総得点がメジャー4位なのに対し、レンジャーズのチームOPSと総得点はメジャー3位につけている。レンジャーズにアドバンテージがあるとすれば、9月にメジャー2位の49本塁打を放った本塁打生産力か(レイズは33本でメジャー15位)。奪三振力の高い剛腕がハイペースで投入され、連打が難しいと言われるプレーオフの戦いでは一発で流れを変えられる力を持っているかどうかは鍵を握る。マーカス・セミエン、コリー・シーガーというメジャー最高の二遊間に率いられ、強打者がずらっと並ぶ打線の出来こそがレンジャーズの命運を決める。

レイズはワンダー・フランコ、ブランドン・ラウというリーグ屈指の攻撃的二遊間を失ってしまったが、持ち前の柔軟な野手運用と若手の層の厚さでそれに対処している。9月に20歳でデビューしたジュニア・カミネロ、オーストラリア出身の23歳の有望株カーティス・ミードは、フランコとラウの穴を埋め、10月のシンデレラボーイとなるポテンシャルを秘める。さらに、シーガーに逆転して首位打者に輝いたヤンディ・ディアス、ビッグゲームで彼ほど頼りになる男はいないランディ・アロザレナなど、強烈な個の力も備えている。

総評すると、やはりこれだけの離脱者を出しながらも、99勝を挙げたレイズの全体的な層の厚さが光る。さらにプレーオフ男のアロザレナをはじめ、今のレイズはプレーオフにおいて百戦錬磨の経験値を誇っている。対するレンジャーズは強力打線など見るべきものも多いが、後半戦に失速し、勝負弱い敗戦も目立った。戦力と経験値で上回るレイズに対してアップセットを引き起こすのは容易ではないだろう。

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