重大事態迎えた悔恨と苦悩 「負の遺産」でジャニーズ廃業へ

記者会見の冒頭、頭を下げるジャニーズ事務所の東山紀之社長。左は井ノ原快彦氏=2日午後、東京都内のホテル

 重過ぎる「負の遺産」はついに、芸能界に築かれた大きなブランドそのものを破壊した。廃業を表明した2日午後のジャニーズ事務所による記者会見。「いかに自分たちが内向きでいけなかったか」。そう語った東山紀之社長の表情には、性被害の深刻さを読み誤り、重大な事態に陥った悔恨と苦悩が、はっきりと表れていた。

 東山氏は会見冒頭で、性加害問題について改めて謝罪。「喜多川氏と完全に決別する決意」として社名を変更、被害者への補償などに専念し、責任を最後まで全うすることを強調した。「ジャニー」を冠する社名を維持した9月7日の記者会見後、スポンサーや世論の猛反発で方針転換を迫られた形となった。

 喜多川氏のめいで社長を辞任した藤島ジュリー景子氏は欠席し、関連会社「ジャニーズアイランド」の井ノ原快彦社長が手紙を代読。「叔父と母がつくったものを閉じていくことが私にできる償い。ジャニー喜多川の痕跡を、この世から一切なくしたい」。家族の内実までも明らかにせざるを得なかった苦しい立場を物語っていた。

© 一般社団法人共同通信社