インボイス(適格請求書)制度がスタート

 1日から「インボイス(適格請求書)制度」がスタートした。任意とされる消費税課税事業者への登録をしていない、いわゆる消費税非課税事業者(消費税免税事業者)はインボイスによる請求書が発行できない。

 このため免税事業者よりも優位に立つ取引先から取引価格引き下げや取引更新見合わせ、登録事業者になるよう要請することが懸念されている。実際、大企業との取引事業者の中にはこれらを懸念して、要請はなかったものの、登録事業者になったケースも少なくないとみられている。

 公正取引委員会は国税局とともにQ&Aで、独占禁止法などで問題になるケースを紹介して、啓発・周知に努めているが、事実上の個々の取引に関する実効性は不透明。

 問題となるケースとしては(1)取引上優越した地位にある事業者(買手)が、免税事業者との取引において、仕入税額控除できないことを理由に取引価格の引下げを要請し、再交渉で双方納得の上で取引価格を設定すれば結果的に取引価格が引き下げられたとしても独占禁止法上問題となるものではない。しかし、再交渉が形式的なものにすぎず、仕入側の事業者(買手)の都合のみで著しく低い価格を設定し、免税事業者が負担していた消費税額も払えないような価格を設定した場合。

 (2)仕入先から商品を購入する契約をした後において、仕入先がインボイス発行事業者でないことを理由に商品の受領を拒否する。

 (3)インボイス制度の実施を契機として免税事業者である仕入先に対し、取引価格の据置きを受け入れる代わりに取引の相手方に別途、協賛金、販売促進費等の名目で金銭の負担を要請する。

 (4)インボイス制度の実施を契機として、免税事業者である仕入先に対し、一方的に、免税事業者が負担していた消費税額も払えないような価格など著しく低い取引価格を設定し、不当に不利益を与えることとなる場合で、これに応じない相手方との取引を停止した場合。

 (5)課税事業者になるよう要請すること自体は独占禁止法上問題となるものではないが、課税事業者にならなければ取引価格を引き下げるとか、応じなければ取引を打ち切ることにするなどと一方的に通告すること、などをあげている。(編集担当:森高龍二)

1日から「インボイス(適格請求書)制度」がスタートした

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