ロゴチャットに不満 県職員連絡アプリ、ルール策定が急務

  ●「緊急でもないのに連絡」「24時間は疲れてしまう」

 県が昨年8月に導入した職員間の連絡アプリ「LoGo(ロゴ)チャット」を巡り、庁内で賛否の声が出ている。導入の旗振り役を自任する西垣淳子副知事は、会話形式でいつでも情報共有できるため「仕事が効率化した」と評価する一方、職員からは「帰宅後や休日にも上司から連絡が来てうんざりする」と不満も聞かれる。県は2日、スマートフォンで同アプリを使用できる対象者を全職員に拡大する通知を出したが、適正利用のためのルール策定が急務となっている。

 ロゴチャットはIT企業「トラストバンク」(東京)が提供する自治体向けビジネスチャット。個人・グループでの連絡、資料共有、日程調整などの機能を備え、業務の時間短縮や効率化が見込まれるという。全国1300超の自治体が導入しており、石川県の運用費は年間約1780万円になる。

 県デジタル推進課の担当者は、グループで連絡を取り合えるほか、出張時や外出先でも情報を確認できる利点があると説明する。実際、課長級職員の一人は「グループだと部内連絡が一度で済む。他の職員の予定も把握できるので便利だ」と歓迎する。

 昨年8月から段階的に導入し、現在は出先機関を含めた全職員のパソコン端末で使用できる。個人用スマホとの連携は現在、馳浩知事や徳田博副知事、県デジタル最高責任者(CDO)である西垣副知事のほか、希望する管理職約250人に絞っているが、今後、一般職員にも拡大する。

 一方、庁内で利用が浸透するにつれ、ロゴチャットの運用に関する不満も多く聞かれるようになった。

 ある課長級の職員は「緊急でもないのに、夜中に確認を求めてくる人もいる。送信者が上司だと、まじめな職員は返信してしまう」と憤る。部長級の職員も「24時間連絡がとれる状態にしているのも疲れる。本末転倒だが、家に帰ったら見ないようにしている」と明かした。

 県職員労働組合(県職労)の関係者は、帰宅後の連絡確認は時間外労働に当たる可能性があると指摘し、「業務を効率化することは歓迎だが、一般職員の労働環境を守るため、ルール徹底などにも力を入れるべきだ」と強調した。

 先月26日の県議会予算委員会では、自民の米澤賢司氏が、西垣副知事がロゴチャットの有用性を「県庁を留守にしても中央官庁や県内市町に足を運びやすくなった」と表現していたことを取り上げ、「互いの顔色や空気を感じながら、膝詰めで職員と打ち合わせすべき案件も多いのではないか」と対面の重要性を説いた。

  ●西垣副知事は評価

 デジタル化の旗振り役である西垣副知事は、北國新聞社の取材に対し「職員間ですぐに情報共有ができ、風通しが良くなった」とメリットを強調し、送信するタイミングなどルールを徹底していくとした。ただ、次長級職員の1人は「導入から1年たっても管理職の間でルールが浸透していない。先が思いやられる」と話した。

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