日出町デマンド型公共交通の運行スタート 自治体全域対象は県内で初【大分県】

関係者に見守られながら運行を開始する日出町デマンド型公共交通=2日、日出町役場
出発式であいさつする本田博文町長

 【日出】日出町の乗り合いタクシー事業「デマンド型公共交通」の運行が2日、始まった。町によると、自治体全域を対象にしたデマンド交通の運行は県内で初めて。関係者は「町民の利便性向上のみならず、高齢者らの外出意欲を高めることにつながれば」と期待を寄せている。

 同日朝、町役場で出発式があった。本田博文町長が「コミュニティーバスの利用者数が伸び悩み、新しい交通手段の形を模索していた。免許を返納した人や移動手段がない人に日常生活の足として活用してもらいたい」とあいさつ。工藤健次町議会議長、佐藤元彦県東部振興局長が祝辞を述べた。

 運行を担うタクシー事業者のドライバーが安全運転を宣言し、利用者が待つ迎車場所に向けて出発した。

 デマンド交通は当初、実証実験を経て2021年10月の開始を予定していた。運行を委託する地場の民間事業者と条件で折り合わず延期に。新たな開始時期に定めた22年10月の時点でも合意に至らなかった。県タクシー協会を交えて協議を続け、事業実施にこぎ着けた。

 担当する町まちづくり推進課の藤本周司課長は「待ち望む声は多く、いよいよ始めることができる。運行を担う町タクシー協会と連携し、より良いものにしていきたい」と話した。

 デマンド交通は事前の利用登録が必要で、利用者は予約の上、自宅近くの迎車場所で乗車。他の利用者がいた場合は乗り合いで目的地まで移動する。迎車場所は町内の道路沿いを中心に917カ所、目的地は主要施設など127カ所を設定している。

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