世界一のいも掘りまつり! 「世界農業遺産」の畑で親子ら1000人がサツマイモ掘り 三芳、4年ぶりの開催

長さ約500メートルの畝の両側から芋掘りを楽しむ親子連れら=埼玉県三芳町上富

 「こんなに大きな芋が取れた」「体重全部を使って掘った」―。“世界一長い”と自称する長さ約500メートルのサツマイモの畝で親子連れらが芋掘りを体験する「世界一のいも掘りまつり」が9月30日、埼玉県三芳町上富の畑で行われた。現場は今年、国連食糧農業機関(FAO)から県内初の世界農業遺産に認定された「武蔵野の落ち葉堆肥農法」に取り組む地域の一角。県内外から参加した親子連れら約千人が芋掘りを堪能し、広大な畑の中で笑顔の花を咲かせた。

 三芳町の伝統的な農法に触れることで地元愛を育み、誇りを持ってもらおうと、同町や川越いも振興会など7団体で構成した「同まつり実行委員会」(島田裕康委員長)が企画。2011年から毎年、開催しているが、コロナ禍で20年から中止しており、今年は4年ぶりの開催となった。

 この日の参加者は約半数が同町民、半分は県内を中心に東京都や神奈川、千葉など県外からの参加も。午前9時半。参加者は江戸時代から平地林と畑、屋敷に地割された農家が伝統農法を続ける三富新田の畑に移動。真っすぐに延びた畝(幅約50センチ)の両側に1列に並び、紅あずまを収穫した。

 5歳と2歳の保育園児とともに3人で初めて参加した同町の会社員女性(36)は「コロナ禍が長かったので子どもたちの思い出をつくろうと参加した。とても楽しく、いい思い出になった。来年も開催されれば、また応募したい」と笑顔で話した。

 同じく同町の会社員男性(48)は妻と小学2年生の女児と参加。「自然に触れる機会が少ないので芋掘りを体験させてあげたかった」と男性。女児は「芋掘りには思った以上に力が必要で、全体重を使ってやった。とっても面白かった」と満足げだった。

 参加者らは芋掘り後、スタンプラリーとともに平地林や江戸時代の寺子屋「旧島田家住宅」を訪れ、近くの上富小学校屋上から三富新田の地割を見学した。

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