黒柳徹子「子どもにとって何が一番嫌か」消極的だった「トットちゃん」42年ぶりの続編に至ったきっかけとは

俳優の黒柳徹子(90)が3日、都内で、子ども時代を描いた自伝的物語「窓ぎわのトットちゃん」42年ぶりの続編となる「続 窓ぎわのトットちゃん」(講談社)発売記念会見を開いた。

1981年3月に刊行された「窓ぎわのトットちゃん」は、黒柳が子ども時代に出会った小林宗作先生とトモエ学園での思い出がいきいきと描かれ、国内で800万部、全世界で2500万部を超えるベストセラーとなった。「トット」は黒柳が「徹子」の名前をうまく発音できず、「トット」と話していたことからきている。

何度も続編のオファーはあったが「前作より面白いものは書けない」と消極的だった。「ぼんやりしているうちに42年経ってしまった」という黒柳を決意させたのは、昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻だった。これまで、人生の失敗談、日本パンダ保護協会、ユニセフ親善大使など、自身の体験をそれぞれ本にまとめてきたが、戦争時の記憶については書き留めてきれていなかった。「やはり子どもにとって何が一番嫌かといえば、自由じゃないことだと思う。何をやってもいけないと言われていた戦争のことを思い出すのも嫌だったんですけど、そのことを考えて続きを書こうかなと思ったわけです」と明かした。

続編では、戦争でトットが青森に疎開してから、音楽学校を卒業してNHKの専属女優となり、ニューヨークに留学するまでの日々がつづられている。黒柳は前作の読み直し、執筆を通じて、”変わらない自分”に驚いたという。「何かにつけて問題児だった私が変わっているのかなと思ったら、書いているうちに何にも変わっていないんだなってわかりました。それでも一応芸能界で70年も仕事できたんだからいいかと思って、自分を納得させました」と笑った。

(よろず~ニュース・松田 和城)

© 株式会社神戸新聞社