猫の必須アミノ酸「タウリン」とは?不足が招く危険な病気や症状

猫に必要な「タウリン」とはどのような成分?

タウリンとは、体の筋肉や臓器が正しく機能するために必要なアミノ酸(※)の一つです。以下のような、さまざまな作用を持っています。

  • 細胞膜を通るイオンの調整
  • 神経伝達
  • 肝臓での解毒
  • 糖質脂質の代謝調節
  • 抗酸化

最近では、疲労回復や持久力にも関与しているといわれています。栄養補給剤や医薬品などに配合されているのをご存じの方も多いかもしれませんね。

猫の体にはタウリンを合成する酵素が十分にないため、食事から摂取しないといけません。そのため「猫の必須アミノ酸」と呼ばれています。猫のフードにも欠かさず含まれています。ちなみに人間や犬は、自分の体内で合成できるようになっています。

タウリンは、肉や魚介類に含まれているので、外で狩りをする猫は捕食する際に自然と摂取できるようになっています。

しかし、飼われている猫の場合、適切な食事を与えられないと不足してしまう恐れがあります。特に妊娠中の母猫の場合には、タウリンが不足すると胎児に深刻な障害が生じます。

(※)アミノ酸はタンパク質の構成成分ですが、タウリンは、タンパク質分解時にできる遊離アミノ酸のひとつです。

猫のタウリン欠乏症と症状

タウリンの不足が2週間続くと体内では血中濃度が1/10まで減少し、およそ1ヵ月続くと欠乏状態に至ります。

タウリン欠乏症としてあらわれる主な症状に「網膜変性症」があげられます。

網膜変性症は、明るい場所でも常時瞳孔が開いて黒目が大きくなった状態であったり、夜間など暗い場所でモノが見えなくなったりします。

自分の近くにあるおもちゃも判断できない、高いところに登らなくなる、周囲の刺激におびえて物陰に隠れるようになるなどの変化があれば、病態はかなり進行しているかもしれません。

また「拡張型心筋症」になることも知られています。心筋の収縮が弱くなり薄く伸びきった状態になってしまい、血液を送り出すポンプの役割ができなくなってしまうことをいいます。

そのほか、肝臓や口腔内の炎症、成長不良、繁殖機能の低下なども報告されています。

タウリンを不足させないためには

タウリンを不足させないためには、以下の3つがポイントになります。

  • キャットフードは総合栄養食を与える
  • 手作り食は愛猫に必要な栄養の計算をしっかりと行ってから
  • ペット用タウリンのサプリの活用

現在では市販のキャットフードにはタウリンが添加されているので、総合栄養食のキャットフードを与えていれば、タウリン不足になる事はありません。

ただし、タウリンを十分に含まれていないフードを常食させたり、偏った栄養の手作り食を与えていたりするとタウリン欠乏症になる可能性があります。

AAFCO(米国飼料検査官協会)やFEDIAF(欧州ペットフード工業会連合)の基準によれば、ドライフードでは100g中0.1g以上を推奨しています。タウリンの摂取は必須ですが、その量はごくわずかです。

タウリンは水溶性のため、もし過剰に摂取したとしても不要な分はそのまま尿として排出されるため問題はないといわれています。

しかし、大量に摂取したからといって健康を増進するものではないため注意しましょう。

まとめ

猫にとってタウリンが必須アミノ酸であることは、完全肉食という特異な食性にあります。

総合栄養食のキャットフードを与えていれば、通常タウリン欠乏症になる事はありません。しかし、手作り食を与えている場合にはしっかりとした栄養管理が必要になります。

重度のタウリン欠乏症になってしまうと、完全に回復することが難しくなります。愛猫の食事は、食いつきだけでなく栄養面にも注意をはらい健康を保つようにしましょう。

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