【MLB】タレント力で上回るフィリーズ、勝負強さのマーリンズ マーリンズ対フィリーズのワイルドカードシリーズ展望!

写真:マーリンズの絶対的なクローザー、タナー・スコット

明日、日本時間4日の9時8分から、マーリンズ対フィリーズのワイルドカードシリーズが開始する。90勝でワイルドカード1位通過を果たした昨年のリーグ優勝チーム・フィリーズと、84勝でフルシーズンでは20年ぶりのプレーオフに滑り込んだマーリンズとの対戦を展望していこう。

現時点で発表・予想されているマッチアップは以下の通り。

第1戦 マーリンズ:ヘスス・ルザード vs. フィリーズ:ザック・ウィーラー
第2戦 マーリンズ:ブラクストン・ギャレット vs. フィリーズ:アーロン・ノラ

フィリーズは昨年のワールドシリーズ進出に貢献したウィーラーとノラのWエースが健在、マーリンズは昨年サイヤング賞のサンディ・アルカンタラを欠いているが、先発マッチアップは互角と言ってもいいかもしれない。

マーリンズの左腕コンビ、ルザードとギャレットは注目されることはあまりないかもしれないが、強力な2トップだ。2人合わせて防御率は3.62、奪三振率は9.74、bWAR7.8という数字は、フィリーズのWエースのそれを凌ぐ高水準にある。

フィリーズはウィーラーこそ今年もエース級のクオリティだが、ノラが不調。防御率は4.46に落ち込み、さらにマーリンズに対しては今季0勝2敗で防御率6.75と相性が悪い。

しかし、先発ローテ以外に目を向けると、やはり2年連続ワールドシリーズ進出を目指すフィリーズの地力が勝るという印象だ。

フィリーズ打線には今季15本塁打以上の選手が7人揃う。そのうち、後半戦だけで10本塁打を放った選手が6人おり、好調のままプレーオフに臨むことになる。

注目はカイル・シュワーバー、トレイ・ターナー、ブライス・ハーパーの1~3番トリオ。後半戦に四球率20.8% & 25本塁打を記録した恐怖の1番シュワーバー、前半の不振から急ピッチで調子を上げてきたターナー、そして後半戦18本塁打 & wRC+164の貫禄を見せたハーパーの並びはメジャー全体でも屈指だ。

マーリンズ打線も、wRC+100以上の打者(つまり平均以上の攻撃力の持ち主)が8人揃い、9人のフィリーズに対して遜色はない。大砲をこれでもかと揃えるフィリーズに対して、マーリンズの打線は多彩なタレントが備える点が特徴だ。

リードオフを務めることが予想されるのが今季の首位打者ルイス・アラエズ。そのアラエズに引っ張られるようにマーリンズのチーム打率はメジャー4位の高水準であり、パワーに欠けても足やバットコントロールでヒットを稼げる選手がマーリンズには多い。そして、そこに組み合わさるのが今季36本塁打のホルヘ・ソレーアを筆頭に、トレードデッドラインで加入したジェイク・バーガーやジョシュ・ベルら、長打力を持つ打者たちだ。純粋な長打力を測るISO(長打率-打率)が.200以上の打者が、今季19本塁打のジャズ・チザム・ジュニアと混ぜてマーリンズには4人いる。アベレージとパワーにそれぞれ尖った選手が混在するマーリンズ打線は面白い存在だ。

ブルペンを見ると、やはりこちらもフィリーズに軍配が上がる。

フィリーズのブルペン防御率はメジャー6位の好数値。昨年もクローザーを固定せずに柔軟な継投策を打つロブ・トムソン監督の手腕がプレーオフで光ったが、今年もトムソン監督のもとに多彩な武器が揃っている。クローザー格には経験豊富なクレイグ・キンブレルとホセ・アルバラード、セットアップにもクローザー経験のあるセランソニー・ドミンゲスとグレゴリー・ソトがいる。今季ブレイクしたジェフ・ホフマンと剛腕ルーキー、オリオン・カーケリングも注目したい存在だ。

表面的な数字ではフィリーズに劣るかもしれないが、マーリンズのブルペンも心強い存在で、後半戦のチームを牽引してきた。後半戦リリーフでメジャートップのfWARを記録した、絶対的なタナー・スコットがいる。さらに9月の防御率が1点台のアンドリュー・ナーディ、デビッド・ロバートソンがいて、ハイレバレッジな状況を任せられる駒は多い。マーリンズは今季1点差ゲームに勝率.717と圧倒的な勝負強さを見せていたが、ブルペンの貢献なくしてその数字はあり得なかっただろう。

全体的に見れば、やはりフィリーズ有利という論調が多い。フィリーズはタレント揃いの上、昨年はワイルドカードからリーグ優勝を掴んでおり、プレーオフ経験やトムソン監督の試合巧者っぷりは証明済みだ。

しかし、過去2回のフルシーズンでのプレーオフ進出はいずれもワールドシリーズまで進んでいるマーリンズは伝統的なアンダードッグ。今年もその勝負強さを証明する数字が多い。フィリーズに対して今シーズンは7勝6敗と勝ち越し、そのうち4勝は1点差試合で、またそのうち4勝は敵地フィラデルフィアで挙げたものだ。1点差試合での圧倒的な成績からも、接戦に持ち込めればマーリンズにも勝機はあるのではないだろうか。

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