実は、犬の動体視力は人間の4倍以上と言われていて、動いている標的ならかなり遠方のものでも識別できます。
一方で、動いていないものに対して犬の視力はかなり低く、色の区別も苦手です。つまり、家の中や散歩道、オモチャなど日常生活で犬が見ている世界は「目が悪い」と言われている状態で見ています。
それでは一体、どんな世界が見えているのでしょうか?
今回は、犬の視界をリアルタイムにシミュレーションできる無料アプリ「犬の目カメラ」でその世界を体験してみます。
犬は視力がめっちゃ悪い
犬の視力は、人間の0.1~0.3程度だと言われています。
犬が動いていないものをハッキリ見分けられるのは30cm〜1m程度まで。それ以上離れたものは見えにくく、10mほど離れてしまうとほとんど見分けがつかないのです。
実は犬は、色の識別も苦手です。犬の視界はモノクロと聞いたことがある飼い主さんも多いのではないでしょうか?
実際にはモノクロではなく、色の区別がつきにくいというのが正解。とくに赤い色は認識できないため、飼い主が色鮮やかに見えている風景でも、犬の視界では単調な色彩の景色が見えています。
「犬の目カメラ」で愛犬の見ている視界を体験してみた
そう言われても、実際に犬の視界はどんな風になっているのか想像するのは難しいですよね。
「大好きな愛犬が見ている世界を、実際に見てみたい」そんな飼い主さんのために開発されたのが、目の健康と睡眠をサポートする404Eyewearが開発した無料アプリ「犬の目カメラ」です。
犬の視覚データを元に犬たちの見ている世界をシミュレーションして画面に表示してくれるので、飼い主さんが愛犬の視界をリアルタイムで擬似体感できます。
「犬の目カメラ」の使い方
アプリをインストールすると、愛犬の設定画面がでてきます。はじめに名前を入力し、犬種(小型犬・中型犬・大型犬から選択)します。
最後に愛犬の年齢を入力し、特定の犬種に該当するかを選択すれば、愛犬の目で見た視界が画面に写ります。
設定はいつでもリセットできるので、多頭飼いの場合も犬種や年齢の設定を変更して簡単に体験できますよ!
衝撃!犬の目で見ると家の中が別世界
今回は我が家の愛犬、12歳の柴犬の見ている世界で実験してみました。
実際に画面に表示される画像を見ると、私たちが見ている景色とあまりに違うことに驚きます。とにかく全体がぼんやりしていてハッキリ見えません。色もフィルターがかかったような感じです。
芝生の上に、いつも遊んでいるオモチャを置いてみました。赤は黄色に緑はグレーや青っぽくなっています。
赤いラインの入った黄色のボールは、黄色一色のボールになってしまいました。「犬は地面や草むらにある赤いボールを見つけにくい」と言われるのはこのためなんですね。
散歩の景色もまるで違う!
少し離れただけで、かなりのものがボヤけてしまいます。つまり、離れた場所にいる飼い主もぼんやりしてしまって見えていないということです。
飼い主から犬は見えているのに、飼い主の姿を一瞬見失っているように見えることがあるのはこういうことなのだと納得です。もしも飼い主が、犬にとって区別がつきにくい色の服を着ていたらますます見えにくくなってしまいますね。
「犬の目カメラ」では、夜になるとどう見えるかもシミュレーションできます。同じ道を犬の目で見ると、夜はほとんど見えていないことがわかりました。
写真だけでなく動画も撮影できるので、実際に動いてみるとますます見えにくさを感じます。それにしても、毎日こんなに見えない中でちゃんと歩いていたのかとビックリしました。
我が家の愛犬がキャスターつきのスーツケースを怖がるのがずっと不思議でしたが、得体の知れない大きなものが近づいてくるように見えているのかもしれません。そう思うと、愛しくて守ってあげなくてはという気持ちになりました。
また、階段や段差などを怖がる犬が多いのは、境目が見えにくくて怖い可能性もあるでしょう。愛犬の行動の理由がほんの少しだけわかった気がしますね。
こんなに見えないのか…飼い主の顔もぼんやり
アプリで色々と見ている間に、あることに気がつきました。もしかして、飼い主の顔も見えていないのかも?
ためしに愛犬の目で見た飼い主をチェックしてみると、めちゃくちゃぼんやりしてます!
犬は視覚ではなく聴覚と嗅覚で情報を得ているとは聞いていましたが「犬の目カメラ」でその視界を体験し、改めて視覚の情報の少なさに驚きました。
シニアになって聴覚や嗅覚が衰えてきた時に、視界の情報も少ないと不安も多くなるでしょう。
「犬の目カメラ」は年齢の設定も選べるので、今後シニア期に入ってさらに目が見えにくくなった時のサポートにも使えそうです。
「犬の目カメラ」で見た景色は、いつも自分が見ていたものとはまったく別の世界でした。暮らしやすいように気を付けるポイントがわかる「犬の目カメラ」は、愛犬の暮らしのQOLをあげる大きな役割を果たしそうです。
(ハピママ*/ 村田 幸音)