処理水、風評の現状学ぶ 復興庁 茨城・水戸工高で出前授業

風評被害を生まない行動などについてグループで意見を交わす生徒ら=水戸市元吉田町

東日本大震災や東京電力福島第1原発事故の記憶が若年層を中心に薄まる中、福島の復興や福島第1原発の処理水の現状について理解を深めてもらおうと、復興庁職員が3日、茨城県水戸市元吉田町の県立水戸工業高(勝田滋校長)で出前授業を行った。電気科1年生40人を対象に、同庁職員の大曲英男さんは「農林水産物が直面する風評被害の現状を知り、身の回りにあふれる情報の真偽を見極める力を養って」と訴えた。

冒頭で動画が流され、ヒラメやモモなど福島県産品の一部が原発事故の影響による風評被害で全国平均を下回る価格で取引されている現状や、福島第1原発で発生し続ける汚染水を浄化する仕組みなどが解説された。

後半のグループワークでは「風評被害を生まないためにできること」を巡って意見を交わし、生徒からは「情報の発信源や出典を確認する」「根拠の不確かな情報は拡散しない」といった声が上がった。受講した神永彩乃さん(16)は「福島の魚だから避けるということはしないようにしたい」と話した。

出前授業は2022年度から実施され、23年度年は同校を皮切りに全国計8校で開かれる。11月には高校生を対象にした1泊2日の現地見学ツアーも企画され、震災遺構の見学や漁業関係者との交流などが予定されている。

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