「ジャニーズ離れ」に歯止めか テレビ局の反応はまちまち

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ジャニーズ事務所が2023年10月2日に行った会見に対して、テレビ局の反応がまちまちだ。

日本テレビホールディングス<9404>傘下の日本テレビ放送網、テレビ朝日ホールディングス<9409>、TBSホールディングス<9401>、フジ・メディア・ホールディングス<4676>傘下のフジテレビジョン、テレビ東京ホールディングス<9413>、NHK(東京都渋谷区)の在京6局が「ジャニーズ事務所の会見について」コメントを発表。

6局中3局が「一定の前進があった」(日本テレビ)、「改革の緒についた」(TBS)「解体的な出直しに向けて一定の前進はあった」(テレビ東京)といった前向きな姿勢を見せた。

これに対し3局は「まだ詳細が不明な部分がある」(フジテレビ)、「被害者の補償・救済を速やかに、かつ誠実に実施するよう求めていく」(テレビ朝日)「被害者への補償と再発防止に向けた取り組みが着実にされているか確認する」(NHK)といった内容で、評価するような表現は見当たらない。

帝国データバンクによると、広告や販促物にジャニーズタレントを起用した上場企業で、放映中のCMなどを「中止する」、あるいは契約期間満了後に「契約を更新しない」などの対応に踏み切る企業が9月末までの1週間で1社の純増にとどまったことから、「ジャニーズ離れに停滞の兆しがみられる」としている。

ジャニー喜多川元社長による所属タレントらへの性加害問題は収束に向かうのか。それともまだまだ尾を引くのか。会見に一定の評価を下したテレビ局でも「発表内容については不明確な事項が多い」(テレビ東京)としており、先行きは不透明といってよさそうだ。

性加害問題の解決には時間が

ジャニーズ事務所は10月2日の会見で、社名を「SMILE-UP.」に変更することや、被害者への補償が完了し次第、廃業すること。さらに新設する会社にはジャニーズ事務所元社長の藤島ジュリー景子氏は参画しないなどの改革案を発表した。

テレビ各局の対応はこれを受けたもので、日本テレビは同社が申し入れていた社名変更などの内容が含まれていたことから、前進があったと評価。今後は「取り組みが早急かつ確実に実施されるようジャニーズ事務所と適切な対話を続け、進捗を注視していく」としている。

TBSは、「(会見は)ジャニーズ事務所が被害者の救済・補償や人権侵害の防止に具体的に取り組み始めたことを示すもの」との理解を示し、今後は「組織体制の構築をより具体的に進めるよう促す」と結んでいる。

一方、前向きな評価をしながらも不明確な事項が多いとしたテレビ東京は「ジャニーズ事務所に事実関係を確認したうえで、今後の方針を決める」とし、手放しでの評価ではないことを明示している。

テレビ朝日は、被害者の補償・救済のほか、新会社が人権侵害に関わる問題が再発しないよう最善の努力するよう求めたうえで、新会社に属するタレントの起用については「企画内容などを踏まえ総合的に判断していく」とした。

フジテレビは詳細が不明なため「引き続きジャニーズ事務所の対応を注視していく」とし、NHKは短いコメントで補償と再発防止の着実な実施を求めている。

これらコメントを見る限り、一気に性加害問題が解決に向かうことは予想しがたく、ある程度の時間がかかるのは避けられそうにない。

厳しいテレビ業界 業績への影響も

テレビ局はコロナ禍による広告収入の減少や、若者のテレビ離れ、インターネット広告の伸長など厳しい環境下にある。

このため非放送事業の育成に力を入れており、アニメ会社の買収などが相次いでいる。直近では日本テレビホールディングスがアニメ制作のスタジオジブリ(東京都小金井市)を2023年10月6日に子会社化する案件が話題を集めた。

ジャニーズのタレントを起用した広告や番組がテレビから消えることなれば、業績への影響も少なからず表れそうだ。

文:M&A Online

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