ポルシェ963ユーザー、2024年は新規登場なし。既存チームには車両追加の可能性/WEC&IMSA

 ポルシェ・モータースポーツ・ノースアメリカのフォルカー・ホルツマイヤー社長兼CEOはSportscar365に対し、2024年はポルシェ963の新規顧客開拓を行わず、既存のカスタマーへの追加車両の納車に注力することを明かした。

 ポルシェは今シーズン、マルチマチック社製シャシーのLMDhマシン『ポルシェ963』を計4台納車しており、そのうち2台はプロトン・コンペティションへ。そしてハーツ・チーム・JOTAとJDCミラー・モータースポーツへ1台ずつ納入された。これら3チームはいずれも2024年に車両を追加することを計画しており、JOTAがWEC世界耐久選手権への参戦を2台体制にしようとしているほか、プロトン・コンペティションはさらに2台購入する意向を示している。

 一方、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のGTPクラスを主戦場とするJDCミラーは、2台目のマシンを購入するための“最終的な詳細”を詰めている最中だが、ホルツマイヤー氏によれば、最初はスペアとして使用される予定だという。

 また同氏はSportscar365に対し、「我々は来シーズンのグリッドに、これ以上のマシンを投入しないことを告知している」と述べた。

「プロトンやJOTAとは2台目について話し合っているが、最終的には急がず、きちんと作りたいと考えている」

「ファクトリーカーを走らせながら同時にカスタマーカーを走らせたことで、我々に課せられるストレスは大きなものになっていたんだ。今は落ち着いてすべてを正しく進め、物事を整列させてから、2025年に他のマシンを追加することを考えるときだと思う」

 ポルシェは、LMDhのレギュレーションに従ってポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのファクトリーチームと全カスタマーの両方に展開しなければならない“マシンのアップデート”を開発している時期から、カスタマーに焦点を当てた取り組みを始めている。

「もちろん、顧客は興味を持っているし、既存のチームがもう1台マシンを追加することは我々にとっても意味がある」と語るホルツマイヤー。

「チームには、話をするチームエンジニアが1名、それにパーツの担当者がひとりいる。だから我々にとっては、他のチームを速くするよりもオペレーションをよりスムーズにする方が簡単なんだ。それこそが、我々が既存のチームを引きこむことに集中する理由だ。マシンは追加されるかもしれないが、新しいチーム(のためのクルマ)はないね」

 ホルツマイヤーは、このマシンの1年目で達成されたこと、特にワークスチームやカスタマーとの関係を含むチーム間の交流に誇りを持っていると続けた。

「多くの人から、なぜ1年目から自分たちに負荷を与えたのかを訊かれるんだ。でも、うまくいっている。チームはお互いにパーツの面で助け合っているよ。不足があれば、それを解決する。協力し合うことが大切なんだ」

「もちろん、純粋なパフォーマンスに関してはそれぞれのチームが運営しているから争いがあるし、最終的なパフォーマンスの詳細は自分たちで把握しなければならない。そのような内容についてはチーム間ともファクトリーとも共有していないよ」

「でも、それ以外のことは共同事業だし、気持ちよく仕事ができている」

WECとIMSAに参戦しているプロトン・コンペティションのポルシェ963

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