中世に琵琶湖の舟運や漁業など特権掌握「諸浦の親郷」大津・堅田を探訪

中世の堅田で中心的な役割を担っていた豪族の庭園を見学する参加者(大津市本堅田2丁目・居初氏庭園)

 琵琶湖での舟運や漁業などの特権を掌握し「諸浦の親郷」と呼ばれた大津市・堅田を巡る探訪会が、このほど行われた。参加した約50人は、船入りの痕跡や水路が残る町を歩き、中世の自治都市として栄えた往時をしのんだ。

 社寺の権力を背景に高度な住民自治を実現させていた堅田の歴史を知ってもらおうと、堅田観光協会と県文化財保護課が主催した。

 参加者は、堅田の町は十字路が少なく、堀や街路で細かく区画されているとの説明を聞き、防御と水運両方の機能を持った特徴を学んだ。堅田を代表する豪族居初氏の庭園(国指定名勝)では、琵琶湖や対岸の三上山を借景とする景観や「天然図画亭(てんねんずえてい)」と呼ばれる風雅な建物を見学した。

 長女と参加した同市下阪本の会社員の女性(47)は「とても立派で、細工が施された茶室が素晴らしかった」と話し、当時の豪族の暮らしに想像を巡らせていた。人や物を運ぶための船入りがあった「堅田藩陣屋跡」や、近江八景の一つ「堅田の落雁(らくがん)」で有名な浮御堂も見て回った。

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