名門DJRが“ワイルドカード”マスタング披露。シモーナ・デ・シルベストロの98号車はイエローに/RSC

 オーストラリア大陸が誇る“聖地”マウントパノラマでの祭典『レプコ・バサースト1000』の開幕が10月5~8日に迫ったRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップでは、各陣営が特別なカラースキームの参戦車両を続々と発表。

 今季もシェルVパワー・レーシングとして参戦する名門ディック・ジョンソン・レーシング(DJR)は、レギュラーの2台に加えて“ワイルドカード枠”でエントリーするシモーナ・デ・シルベストロ/カイ・アレン組の98号車Gen3フォード・マスタング・スーパーカーを披露し、鮮烈な“イエロー・スタイル”を採用した。

 元7冠王者ジェイミー・ウインカップとペアを組んだブロック・フィーニー組(トリプルエイト・レースエンジニアリング/シボレー・カマロZL1)が制覇した第9戦『ペンライト・オイル・サンダウン500』に続き、例年シーズン終盤戦に組み込まれるカップ制の耐久レース2戦目に向け、ポルシェ・ファクトリー契約ドライバーでシリーズ経験者でもあるシモーナが、ようやくフォード系の名門チームに合流を果たした。

 チームの標準車両である赤いカラーリングを反転させた外観を持ち、主に黄色を基調とした98号車は、まだシリーズ名称に“V8”の名を冠した2000年代初頭の『シェル・ヘリックスDJRファルコン』にオマージュを捧げつつ、同国の市場でも流通するシェルのオクタン価“98”のプレミアム無鉛燃料にちなんだカーナンバーが選択された。

「初めてクルマを見たときから『素晴らしい』と思ったし、間違いなく目立つでしょうね。いつもどおりDJRのスタイルで、速くてアグレッシブに見える。それはいつだって良いことよね」とシルベストロ。

「このクルマでマウントパノラマのコンロッドストレートを下るのは素晴らしいでしょうね。(ルーキーの)カイと一緒にコースに向かうのが待ち切れない」

今季もシェルVパワー・レーシングとして参戦する名門ディック・ジョンソン・レーシング(DJR)の98号車
カップ制の耐久レース2戦目に向け、ポルシェ・ファクトリー契約ドライバーでシリーズ経験者でもあるシモーナ・デ・シルベストロ(右)がフォード系の名門チームに合流を果たした
本番開始約1週間前の先週には、クイーンズランド・レースウェイで自身初のGen3規定モデルのステアリングを握ることができた

■「できる限り速く走らせる方法を掴むだけ」とシルベストロ

 これが約4年ぶりの豪州復帰となるシルベストロは、その直前に盲腸の緊急手術も経験し、本来の事前テストを延期する事態となっていた。それでも、バサースト出走の希望が挫折しそうになった時期を経て一転、痛みと最終的な手術こそ「ショックだった」と言うが、予後が良好であると知って「頭のなかはバサーストでいっぱいになった」と明かす。

「それはそれは痛かった」と、シリーズ公式サイトに語ったシルベストロ。「普通に元気で過ごしていたのに、その数時間後には手術台の上にいた。準備する時間なんて何もなかったし、破裂寸前だった。その意味では幸運で、もし破裂していたらもっとひどいことになっていた」と続けたスイス出身の35歳。

「でも手術がうまくいったと言われたら、私はすぐに“馬”に戻れるタイプだとわかった(笑)。チームは私に合わせテスト日程を変更してくれて、その対応もとても素晴らしかった。彼らは物事をうまく進め、これを実現させてくれた」

 そして本番開始約1週間前の先週には、クイーンズランド・レースウェイで自身初のGen3規定モデルのステアリングを握ることができた。

「このクルマについてはたくさん話を聞いていたから、実際にドライブするのは良いことね。ただ乗り込んで、そのクルマに何が必要かを学ぶだけだから」と、シリーズを離れていた期間も電動シングルシーターのリザーブや、北米インディカーへの“カメオ出演”に、欧州GTシーンでの活動と多忙な日々を過ごしてきたシルベストロ。

「確かに、それは私が慣れ親しんでいるものとは異なっていた。正直に言えば、スーパーカーをドライブするのは4年ぶりで、最初の数周は『間違った側(右ハンドル)』に座ることにも慣れる必要があった」

「コーナーから立ち上がるとき、少し道幅を使い過ぎていたみたい。でもそれは、クルマの感覚どおりにただ“グルーヴ”していただけ。結局のところ、クルマにはいくつかのペダル、ステアリング、そして4つの車輪が付いている。それをできる限り速く走らせる方法を掴むだけよ」

「このクルマについてはたくさん話を聞いていたから、実際にドライブするのは良いことね」とシルベストロ
ティックフォードの56号車デクラン・フレイザー/タイラー・エヴァリンガム組(上)は今季3番目のスキーム、BRT(右)はメルセデスF1インスパイアのペトロナスカラーに。そしてBJR(左)はファン提供のバサースト・メモリー・フォトをあしらった
ケビン・エストーレもドライブするペンライト・レーシングは、こちらも復刻となる特別なゴールドのカラーリングとなった

© 株式会社三栄