「お手盛り」「説明不足」 杉田・松川氏起用、木原氏兼務…首相の自民人事に党内外から批判

岸田文雄首相(資料写真)

 4日に就任2年を迎えた岸田文雄首相(自民党総裁)だが、党人事が党内外で批判を浴びている。幹部人事で兼務を原則しないよう求める一方、側近の前官房副長官・木原誠二氏の役職兼務は容認。札幌法務局から「人権侵犯」を認定された杉田水脈氏を環境部会長代理、「海外研修」でのエッフェル塔前のポーズ写真などを巡り「観光旅行」との批判を受けた松川るい氏を副幹事長に充てた。

 通常、内閣改造などを行えば新たな人材への期待含みで支持率がアップするものだが、今回の人事では効果が見えず、総裁任期1年を切った中での厳しい3年目のスタートとなった。木原氏の役職兼務などには自民内からも「国民にお手盛りと見られかねない」(中堅議員)、「説明不足」(若手議員)との指摘が聞かれ、疑問と不満が広がっている。

 自民関係者によると、首相は9月26日の党役員会で幹事長ら「党七役」と呼ばれる幹部の党政務調査会と党特別機関(党則79条機関)の兼務を原則禁止するよう求めた。議員へのポスト配分を広げる狙いともみられている。

 同機関を巡っては今年1月に「『こども・若者』輝く未来創造本部」の本部長を兼ねた茂木敏充幹事長が「児童手当の所得制限撤廃」を政府との調整未達のまま打ち出し波紋を広げた経緯がある。「兼務禁止は総理の茂木幹事長へのけん制」(自民党幹部)との指摘も出ている。

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