教科書採択巡る録音データ訴訟、川崎市教委に開示拒否取り消し命令 地裁「不開示情報に該当しない」

川崎市教委が入るビル(資料写真)

 川崎市立学校の教科書採択に絡む選定審議会(非公開)などの録音データを巡り、市教育委員会が非開示とした処分が市情報公開条例に違反するとして、元教員2人が市に取り消しを求めた訴訟の判決で、横浜地裁(岡田伸太裁判長)は4日、川崎市情報公開条例の「不開示情報に該当しない」として、開示拒否処分を取り消すよう命じる判決を言い渡した。

 判決などによると、原告の男性1人は2014年度と15年度の各第1回市教科用図書選定審議会、別の男性は17年8月27日の市教委臨時会(公開)の録音データを、市情報公開条例に基づき開示請求したが、市教委はそれぞれ17年7月と10月に開示を拒否した。

 その後、2人は処分取り消しを求め審査を請求。市教委の諮問を受けた市情報公開・個人情報保護審査会は、選定審議会について19年12月に「一部」、教委会議については20年1月に「全部」を「公開すべき」と答申した。だが、市教委は20年春、再び非開示として請求を棄却していた。

 判決では、請求された音声データは、条例が不開示情報として規定した「率直な意見の交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある」などの事項に「該当しない」と指摘。また、非公開の選定審議会のデータについても、同審議会を公開で行う自治体がある現状があり、採択終了後の公開は「事務や事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれはない」とした。

 2人は20年9月に提訴していた。小田嶋満教育長は「早急に判決内容を分析し、今後の対応を検討したい」とコメントした。

© 株式会社神奈川新聞社