<レスリング>【2023年アジア大会・特集】出場選手の声(第1日)

 

(2023年10月4日、中国・杭州 / 取材=布施鋼治、撮影=保高幸子)


 ■男子グレコローマン60㎏級2位・鈴木絢大(レスターホールディングス=決勝で、今年の世界選手権で文田健一郎を破ったシャルシェンベコフに逆転フォール負け)「相手の左の差しが強いことは分かっていた。そこを何とか対応して、6-2とリードしたところまではよかったけど、それから詰められてしまった。(先日行なわれた世界選手権決勝を文田と争ったシャルシェンベコフとの対戦になったことについて)そこは変に意識しませんでした。健一郎先輩と自分は違うので、やるべきことをやろうと心がけました。

得意の一本背負いでポイントに結びつけられたところはよかった。でも、やっぱり悔しいですね。今も笹本コーチに指摘されましたけど、勝てる試合だったと思います。(文田がパリ・オリンピック代表に内定し、自身のモチベーションについて)自分も目指していたのはオリンピックなので、気分が下がっていたところはあった。でも、そうなることで、リラックスできて変な緊張感はなかったですね」


 ■男子グレコローマン67㎏級優勝・遠藤功章(東和エンジニアリング=決勝で昨年のアジア選手権王者を撃破して優勝)「出ることが決まってからずっと『勝つつもりだ』と言っていたけど、もしかしたら世界選手権で(曽我部)京太郎が(パリ・オリンピックの枠を)取ってしまうかもしれない、という状態だった(涙声に)。それでメンタルが結構きつい時もあった。

 京太郎が負けて、もう一回チャンスが回ってきた。ここは何が何でも取ろうという気持ちでした。正直、組み合わせを見たとき、強豪は反対ブロックに固まっていたので、行けると思っていました。決勝を争ったシェルマハベトは強かったけど、日体大で(文田)健一郎先輩や京太郎ら強い選手たちとずっとやってきたので、特別な強さは感じませんでした」


 ■男子グレコローマン77㎏級・櫻庭功大(自衛隊=初戦でカザフスタンのアザット・サディコフに0-6で敗北)「技術どうこうではなく、6月の明治杯で(準々決勝で前田明都に)負けてから気持ちがうまく切り換えられない。ずっとダメなまま来ている。

 整える時間はあったと思うけど、パリ・オリンピックの切符もなくなって、『次はどうしたらいいのか?』みたいな感じでいました。その気持ちのまま、この試合に出てしまったのかなと思います」


 ■男子グレコローマン87㎏級3位・角雅人(自衛隊=3位決定戦でカザフスタンの選手を9-1のテクニカルスペリオリティで撃破。銅メダルを獲得)「世界選手権は最終日での試合で、今大会は初日。短いインターバルだったので、疲労感は結構すごかった。体重調整はうまくいったけど、疲労を抜くのが大変でした。コーチにも理解してもらい、半日とかそういうレベルですけど、休養もとりました。

 3位決定戦は、スタンド戦は文句なしでしたけど、グラウンドは相手のデータが足りなくて、どういう技を仕掛けてくるかも今ひとつ分かっていなかった。なので、ちょっと危ない展開もあった。ビッグポイントを取られてもスタンドで押し込める(ステップアウト)自信があったので、落ち着いて対処することができました。途中で相手がスタミナ切れを起こしたのは自分のプレッシャーが強かったからだと思いたい。

 (前回のアジア大会は8位で今回は3位だったことについて)努力が正しい方向に向いていれば、結果はおのずとついてくると思っている。今回は世界選手権での反省と努力の方向性がいき、自衛隊体育学校のコーチや笹本睦コーチに細かくアドバイスをいただきました。感謝しています」

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