【Bリーグ】横浜BCの若き司令塔・河村勇輝 W杯の経験還元、キーワードは「遅さ」

テーマは「緩急」。世界トップレベルの司令塔へ進化を続けている=9月16日、トッケイセキュリティ平塚総合体育館

 今夏のワールドカップ(W杯)の熱狂を追い風に、バスケットボール男子Bリーグ1部(B1)は5日開幕する。昨季史上初の4強入りを果たした横浜ビー・コルセアーズを導くのは日本代表のガード河村勇輝(22)。「世界のトップは全てのスキルや考え方のレベルが高かった。経験を還元して引っ張っていきたい」。“海賊”の若き司令塔は出航準備万全だ。

 向けられる視線が一層熱を帯びていることは重々承知している。それでも、「他人の評価以上に、今やらなければいけないことというのは自分が一番分かっている。そこにフォーカスするだけ」。信念は揺るがない。

 キーワードの一つは「遅さ」である。絶対の自信を持つ「速さ」を最大限に生かすための真逆のアプローチ。気付きを与えたのはNBA選手で、ドイツのW杯初優勝に貢献したシュレーダー(ラプターズ)だという。

 「対峙(たいじ)してみてスピードでは負けていないが、緩急の使い方でレベルの差があるなと感じた」と河村。実際、大会を通して自身より大柄で足の速い選手に動きを封じられるシーンもあった。「あえて遅く見せて0から100への緩急。学んでいけばもっと幅が広がる」

 加えて力点を置くのは、リバウンドにおける「ヒットファースト」の意識だ。「日本のバスケットボールで一番のウイークポイントは高さやリバウンド。先に自分から当たっていって相手を自由にさせないというのはすごく大事」。それは、今季の横浜BCに還元すべきポイントでもある。

 昨季、リーグ4位の1試合平均10.7リバウンドをマークしたジャクソンが京都に移籍。ゴール下の大黒柱が抜けた穴は大きく、直近の天皇杯全日本選手権の2次ラウンドでは、勝ち上がりはしたもののB1秋田にオフェンスリバウンドを18本も奪われた。

 「ボックスアウト、ポジショニングなどもっと改善できる部分がある」と河村。55失点とディフェンスの強度に手応えをつかみつつ、「戦術と一人一人のリバウンドへの意識を高めていくこと。僕ももっとコンタクトしていってリバウンドに絡んでいきたい」と誓う。

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