「怖くて左車線しか走っていない」国道1号“動くセンターライン”廃止へ 時間帯で中央線切り替えも気づけば逆走…4年弱で人身事故86件

静岡県内で唯一、静岡市内の国道1号にある「動くセンターライン」について、廃止に向けて検討が進められていることがわかりました。この区間では、ここ4年弱で86件の人身事故が発生しています。

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<伊豆川洋輔記者>
「わたしの後ろに見える一風変わった標識の場所が『リバーシブルレーン』です。交通量の多い時間帯に合わせて中央線が自動で切り替わる仕組みになっています」

静岡市を走る国道1号の駿河大橋周辺の約2kmの区間には、静岡県内唯一の「動くセンターライン」があります。昼時、センターラインが動きます。

<伊豆川洋輔記者>
「いま、標識が動き出しました。標識の位置が変わり、ここから2車線通行と標識が変わりました。そして、中央線の位置が変わりました」

センターラインを示す道路上のライトも切り替わりました。

警察によりますと、現在、全国9都県19か所ある「動くセンターライン」の正式名称は「リバーシブルレーン」。上下3車線区間のセンターラインの位置を時間帯に応じて変更し、交通量の多い側を2車線にする仕組みです。

駿河大橋では、午前0時から正午までは、交通量が多い上りが2車線。正午から午前0時は下りが2車線となります。

1978年に導入されたこの規制について、静岡県警などは廃止に向けて検討を進めていることが関係者への取材で分かりました。その理由が・・・。

<伊豆川洋輔記者>
「逆走ですね。白い車が中央線をはみ出してかなり長く走っています」

逆走する車が絶えないのです。

<伊豆川洋輔記者>
「白いワンボックスカーが逆走しています。いま、対向車が来たら危ないですね。あっ!すぐトラックが…」

静岡県警によりますと、この区間では、記録のある2020年以降の4年弱(2020年1月1日~2023年10月3日)で86件の人身事故が発生。2008年には、中央車線を逆走したバイクと乗用車が正面衝突してバイクの運転手が死亡する事故も起きています。

<タクシードライバー>
「慣れていないとずっと車線を変えないで走ってくる人もいるから、ちょっと怖いなと」

<近くに営業所のある会社員>
「怖くて左車線しか走っていないんですよ、基本」

さらに廃止検討の背景に、「リバーシブルレーン」がその役目を終えつつあるという現状があります。

1992年に静岡大橋が開通。さらに、2018年には、国道1号静清バイパスが全線4車線化するなど、規制導入時に比べて道路の選択肢が増えたことで交通量は分散。駿河大橋の交通量はピーク時の1985年と比べると4割ほど減少しました。

<近隣住民>
「やっぱり事故が多いので、廃止した方がいいと思います」

静岡県警などは、2024年度中の廃止を目指し、すでに近隣住民などへの説明を始めています。

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