井ノ原快彦 記者たしなめに「丸め込む方法」と疑問続出…2度目会見で見えた“神対応”の綻び

故・ジャニー喜多川氏(享年87)による性加害問題について、10月2日に2回目の記者会見を開いたジャニーズ事務所。会場の都合上2時間に制限され、質疑応答では事前に「一社一問」が通達されていた。出席した記者たちも質問すべく熱心に手を挙げていたが、怒号が飛び交うなど前回以上に荒れた会見となった。

そんななか、賛否が巻き起こっているのは会見に登壇した井ノ原快彦(47)の対応だ。

指名されていないなか質問をしようとする記者に、司会者が「すみません、1社1問でお願いします。発言が求められていないので、静かにお願いします」と諫める一幕が。すると井ノ原はマイクを持ち、「ちょっと落ち着いていきましょう、ね。落ち着いていきましょう、皆さん。じっくりといきましょう」と呼びかけていた。

しかし、一部の記者による「ルール違反」や野次は続いた。騒然とした状況を見かねた井ノ原は、会見終盤で「あのちょっと一言いいですか」と切り出した。そして神妙な表情で、報道陣に向けてこう続けたのだった。

「やはりこういう会見の場は全国に生放送で伝わっておりまして、小さな子供たち、自分にも子供がいます。ジャニーズジュニアの子たちもいますし、それこそ被害者の皆さんが『自分たちのことでこんなに揉めているのか』っていうのは、僕は見せたくないので。できる限りルールを守りながら、ルールを守っていく大人たちの姿をこの会見では見せていきたいって、僕は思ってますので、どうかどうか落ち着いてお願いします」

「ルールを守りましょう」とたしなめた井ノ原に、会場では拍手が湧き上がっていた。ネット上でも《いのっち流石!!!》《大人すぎる対応が素晴らしい》と、井ノ原を称賛する声が上がっていた。

■「非常に違和感がある」「明らかにトーンポリシング」

だがいっぽうで厳しい声も上がっており、メディアに出演した著名人たちも冷ややかな視線を送っているようだ。

3日放送の『DayDay.』(日本テレビ系)では、火曜コメンテーターでThe HEADLINE編集長の石田健氏はこう指摘した。

「児童に対して性加害をした企業のトップが、メディアからの質問に対して『子どもも見てるので皆さん、落ち着いていきましょうよ』というのは非常に違和感がありましたよね。もともと子どもに対してやったことが問題になって、あの場に立っているわけなので、その方たちが『子どもが見ているから落ち着きましょう』。しかも自社の質問に対し、そういったなだめ方をしているのは非常に違和感がある」

「もし別の不祥事を起こした企業が記者会見で『みなさん落ち着きましょう』って言ったら、非常に批判を浴びてるはずなんですよね。にもかかわらず、やはりこれは井ノ原さんだったからこそ、メディア含めてお茶の間に愛されているからこそ『そうだよね、落ち着いた話し合いが必要だよね』という風になっている」

元TBSのアナウンサーの小島慶子(51)も同日放送の『大竹まこと ゴールデンラジオ!』(文化放送)で、「『井ノ原さん、さすが』って思う人がいるのかもしれないけど、こういう場ではこのコメントは、私は適切ではないと思うんですよね。やっぱりここで開かれている会見の本質を、分かってないんじゃないかっていう」と疑問視。

さらに東京大学大学院の斎藤幸平准教授(36)も同日放送の『news23』(TBS系)で、井ノ原の発言について「明らかにトーンポリシングなんですよね」とコメント。「ルールを破った加害者がルールを持ち出したり、子供に対して性加害をした側が子供たちの名を出して『あなたたちがルールを守りなさいよ』と言うというのは、加害者の側が追及者を丸め込む方法なんです」と、“論点ずらし”を指摘していた。

高知東生(58)も同日に更新したXで、《「子ども達のために」「子どもが見ている」と子どもをダシに使うのは相手に批判させたくない、黙らせるために便利だからだよな。反論できない大義名分に子どもは一番言いやすい。俺なんか自分が車や時計を見せびらかしたかっただけなのに「子供達に夢を与える」とかって言ってたからさ。恥ずかしい限り》とポストしている。

9月7日に行われた1回目の会見では、「同じところばかり指さないでほしい」と苦言を呈した記者に質問権を与えるなど“神対応”が話題になった井ノ原。綻びが生じつつある状況を、どのように受け止めているだろうか。

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