減税措置で企業の参入・退出を促進 政府が方針

内閣官房(永田町)

事業承継の優遇税制、特例承継計画の申請期限を延長へ

政府は9月27日に開かれた新しい資本主義実現会議で、中小企業の経営を引き継ぐ際に生じる贈与税、相続税の金銭的な負担が実質ゼロになる「事業承継税制」に係る特例承継計画の申請を2024年3月末から延長する方針を示した。延長期間は与党の税制調査会で年末にかけて検討されるが、事業承継の大きな後押しとなることが期待される。

先代から取得した自社株の相続・贈与税を猶予

2008年に創設された事業承継税制は2018年1月から2027年12月末まで10年間の期間限定で大幅に拡充され、特例措置が講じられた。中小企業の後継者が先代経営者らから非上場株式などを承継した際、一定要件を満たせば贈与税、相続税の納税が猶予される。さらに、猶予された税金は後継者(2代目)から次の後継者(3代目)に株式を承継すると免除となる。

経産省や日本商工会議所が要望

特例措置を活用するためには、株式などを承継するまでの期間や後継者が株式などを承継した後の5年間の事業計画などを記載し、認定経営革新等機関の指導・助言を受けた特例承継計画を都道府県に提出する必要がある。2022年度税制改正で計画書の提出期限を2023年3月末から1年間延長されたが、経済産業省や日本商工会議所は再度の延長を要望していた。

ストックオプション減税の充実なども検討

同日の会議ではこのほか、スタートアップのストックオプション(自社株購入権)関連の法制度や税制の使い勝手を早急に改善するため、株主総会から取締役会への委任内容の拡大など会社法の特例を規定した法案の国会提出を図ることが示された。ストックオプション税制の権利行使額の上限引き上げなど減税措置の充実も検討する。

また、すべての金融債権者の同意を必要とせず、多数決によって金融債務の減額を可能にする事業再構築法案の早期国会提出や、経営者保証を不要とする信用保証制度の創設を年度内に前倒しして実施することも打ち出した。

文:M&A Online

関連リンク:新しい資本主義の推進についての重点事項(最終版)

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