女性美追求、舞妓優雅に 鶴岡義雄展5日開幕 茨城・筑西の廣澤美術館

企画展で展示される「京舞」などの舞妓シリーズ=筑西市大塚

茨城県土浦市出身の洋画家で、日本芸術院会員の鶴岡義雄さん(1917~2007年)の作品を集めた企画展「女性美を追求し続けた画家 鶴岡義雄展」が5日、同県筑西市大塚の廣澤美術館で始まる。代表作の「マドモアゼル」「舞妓(まいこ)」シリーズを中心に72点がそろい、華やかでりんとした雰囲気と上品さのある力作を紹介する。

開幕を控えた4日、報道機関向けに内覧会が開かれた。作品はいずれも同館を運営する広沢グループの広沢清会長のコレクション。

鶴岡さんは旧制土浦中(現土浦一高)に在学中、同県石岡市出身の洋画家、熊岡美彦(1889~1944年)の講習会に参加し、画家を志すようになった。日本美術学校を卒業後、二科展で発表を続け、内閣総理大臣賞を受賞するなど活躍した。

「舞妓」は、西欧の造形を基本とした動的な構成が高く評価されたシリーズ。展示される21点のうち、「京舞(きょうまい)」は5人の舞妓が優雅に舞う姿を捉えた。「鼓(つづみ)」は、鼓を打つ舞妓の背景にモミジが舞い散り、秋をイメージした作品に仕上がっている。

一方、渡欧中に制作された「マドモアゼル」は、モダンなパリの女性像をシャープな輪郭や鼻筋を描くことで表現したシリーズ。今回は27点が並び、鶴岡さんが晩年まで自宅に飾って大切にしていた作品などが見どころだ。

同館学芸員の渡辺松太郎さん(24)は「洗練された伝統の美と、女性美を追求した作家が地元にいたことを知ってほしい」と話している。会期は12月3日まで。

© 株式会社茨城新聞社