B1長崎ヴェルカ いざ初陣 8、9日にホームで千葉J戦 日本代表の馬場ら6人加入

 ワールドカップ(W杯)の熱気が残る中、バスケットボール男子は5日、国内最高峰のBリーグ1部(B1)が幕を開ける。長崎ヴェルカは2020年秋に県内初のプロバスケットボールクラブとして誕生後、最短2シーズンでのB1昇格を有言実行。初陣は8、9日で、長崎市の県立総合体育館で昨季2位の千葉Jと激突する。オフシーズンは国内外から補強を進め、9月下旬にはW杯で来夏のパリ五輪出場を決めた日本代表、馬場の電撃加入を発表。上昇気流に乗って新たなステージに挑むチームを紹介する。

◎進化する“飽きないバスケ”

■ハードワーク
 昨季はB2で西地区2位に入り、東西上位計8チームによるプレーオフで決勝へ進出。最後は西地区1位の佐賀に競り負けたものの、2枠のB1昇格権を手にした。
 チームの土台にあるのはハードワーク。堅守速攻を軸に、昨季は1試合平均得点でリーグトップとなる89.7点を記録した。今季も目指すのは“飽きないバスケット”。毎試合、足を止めずにコートを駆け巡る。
 そこに大きなアクセントを加えるのが、全員で積極的に狙っていく3点シュート。昨季の1試合平均試投数は32.3本。30本を超えたのはリーグ全体でもB1千葉Jと2チームだけだった。B2トップ40.8%の成功率を誇った狩俣を中心に、美しく描かれる放物線が会場を沸かせそうだ。
■続く相乗効果
 課題だった高さを含めてチームを底上げするのは6人の新戦力。目玉は何と言っても馬場だ。開幕直前の合流で、全5試合に出場したW杯での負傷が懸念されるものの「開幕にベストな準備をしていく。日本代表の高いスタンダードを還元したい。“BABABOOM(ババブーン)”と言われるダンクも、ぜひ見てほしい」と力強い。
 プレー面はもちろん、大学、Bリーグで優勝経験を重ね、米プロNBA入りを目指して「この1シーズンに懸けている」と意気込む27歳の存在は、精神面でも好影響を与えてくれそうだ。
 ブラントリー、パーキンズ、チャンの新外国人選手はいずれも身長2メートル超。NBA経験者のブラントリーは総合力が高いオールラウンダーで、パーキンズはどんな相手にも当たり負けないフィジカルに加えて外角シュートの精度も高い。チャンは日本人ビッグマンにない多彩な動きができる。「アジア特別枠選手」でコート上2枠の外国人にカウントされない。
 B1宇都宮、横浜BCから移籍した荒谷、森川も戦術の幅を広げる。荒谷は1対1の突破力が最大の持ち味。ガードに頼らず、自らボールを運んで攻撃を組み立てることもできる。森川はどこからでも狙えるシュート力が強み。31歳のベテランはキャプテンシーを発揮して、豊富な知識や経験を仲間たちに落とし込んでいく。
 B3、B2で2年連続最優秀選手(MVP)のボンズ、人一倍ハードワークを体現してきた松本や髙比良、絶対的司令塔の狩俣ら、初年度からチームを支えてきた選手たちも相乗効果でレベルアップ。成長株の榎田、小針らの飛躍も楽しみで、40歳の最年長野口も随所で存在感を示している。
■熱気をさらに
 第1節でぶつかる千葉Jはヴェルカと同様にハイペースな攻防が特徴。いきなり強豪との対戦となったが、進化したチーム力を測る上で最高の相手と言えるだろう。昨季の主将で、今季は狩俣、森川、ボンズとともに共同主将を務める髙比良は、こう言葉に力を込める。
 「チーム内競争も激しくて、勝ちにこだわる姿勢が全員に出ている。長崎のバスケ熱をさらに盛り上げて“Bリーグのホーム戦といえばヴェルカ”と言われるくらいの街にしたい。子どもから大人まで“試合が待ち遠しい”“試合後も興奮が収まらない”と思ってもらえるようにやっていきたい」

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