福井県が決めた県産そばのキャッチフレーズ周知進まず 「香福の極み・越前蕎麦」ブランディング道半ば

福井のそばを全国にPRするため、福井県が作成したキャッチフレーズとロゴマーク。発表から約4カ月たったが、周知が進んでいない

 福井県のそばのおいしさや魅力を全国にPRするため、県が6月に公表した「香福の極み・越前蕎麦」のキャッチフレーズとロゴマークの周知が進んでいない。県内のそば店にロゴを使用してもらう要件などが整っていないためだ。県は11月に開かれる新そばのイベントから本格的にPRする方針だが、そのイベント名が「福井そば」であるなど、統一的なブランディングになっておらず、来年3月16日の北陸新幹線県内開業に向けた課題となっている。

 香福の極み・越前蕎麦は、新幹線開業を見据え、ソバ産地・福井を全国にアピールするとともに、「越前おろしそば」や「ふくいそば」などの名称が混在する中で統一したブランディングを進めていくため決定した。福井のそばは在来種の県産ソバを皮ごと使い、石臼びきで製粉するため、香りの良さが他産地に比べて優れているとされる。その特徴をキャッチフレーズとロゴに込めた。

 杉本達治知事は、6月の発表時の記者会見で「そばを食べる目的として福井を選んでいただけるよう、いろいろな機会を通じて全国に発信していきたい」と強調していたが、約4カ月がたっても目立った活用が見えない。

 県福井米戦略課によると、活用やPRが遅れているのは、県産ソバや石臼でひいたそば粉を使う県内のそば店を認証する新たな制度の準備に時間がかかっていることなどが理由。従来制度の県産そば粉100%の使用店などを認定する「おいしい福井県産そば使用店」の取り扱いや、創設する認証制度とは別にロゴのみを使用してもらう基準を検討中という。

 福井県麺類業生活衛生同業組合の宝山栄一理事長は「(キャッチフレーズやロゴを周知する)スピードアップは必要だが、その前に福井のそばのブランド価値が下がることがあってはならない」とし「認証制度創設によって全国に魅力がさらに広まり、県産のそば粉を使用する店舗が増えればいい」と話す。

 既に一定の認知度を得ている「福井そば」などを含め、どうブランディングしていくかも課題だ。県などが加盟する「福井そばルネッサンス推進実行委員会」が11月18、19日に福井市のハピテラスで開くイベント名は「福井そば博2023」。福井のそばをインターネット上でPRする情報サイト名も「ふくいそばOnline」だ。

 県は福井そば博会場で「香福の極み・越前蕎麦」ののぼりを立ててPRする方針。東京で開催予定のイベントでも活用していく。同課は「キャッチフレーズを決める過程で、県外にPRするには福井そばよりも越前蕎麦がふさわしいとの声が事業者も含めて多かった。目に付くようなPRはまだできていないが、効果的に全国に発信していきたい」としている。

⇒福井県政のニュース一覧はこちら

© 株式会社福井新聞社