学び直し、AIで支援 生産性向上 茨城県、システム開発

リスキリングの推進へ政策をまとめた大井川和彦知事と協議会メンバー=県庁

茨城県は4日、社会人の学び直し(リスキリング)を普及させ、県内企業の生産性を高めようと、推進政策を取りまとめた。成長分野のスキル習得の支援として、人工知能(AI)が従業員に適した職種や学習講座を推奨するシステムを開発するほか、認定講座の開設や先進企業を支援する取り組みを進める。

産官学連携の県リスキリング推進協議会(会長・大井川和彦知事)が同日の会合で、政策パッケージとして主に「意識啓発・機運醸成」「スキル習得支援」の2本柱をまとめた。

スキル習得支援では、従業員の希望や職歴、資格などから、AIが本人に適した職種や学習講座を紹介するマッチングシステムを年度内に開発、稼働させる。人材の需給調査により、成長分野で必要なスキルの可視化や習得を支援する。

企業で求められるデジタルスキルの向上のため、認定講座を開催し、先進企業の見学、受講者同士による企業のデジタル化計画作りといった人材育成を後押しする。

理解促進に向け、県内企業を対象にリスキリングの推進宣言制度を設ける。2025年度までに150社が宣言することを目標に掲げ、特に先進的な30社を表彰する。

宣言項目として、業務の効率化によるリスキリング環境の整備や人事評価・処遇の改善などを推奨。これにより、県は5万人のリスキリング環境が向上すると想定する。

経営者や人事担当者向けの講座開催や、国の補助金などを紹介するポータルサイトの運営も予定する。

会合では、県内のデジタル人材は、30年には約5千人の不足が見込まれると報告された。

県はリスキリングによる人材育成で、県内企業の生産性を高めてもらおうと、経済団体や教育機関などによる協議会を1月に発足させ、施策を議論してきた。

大井川知事は「生産年齢人口が減少する中、成長分野へのシフトは重要」と強調。「各分野の課題に沿って、より具体的な政策が必要となる」として、さらに取り組みの充実を図る考えを示した。

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