【大田原】弘法大師生誕1250年に合わせて小滝の妙徳寺は7日から、秘仏本尊「文殊菩薩(ぼさつ)像」を初めて御開帳する。同像は模刻の制作における調査で1410(応永17)年作と判明し、室町時代に真言宗が地域に根付いていたことを示す貴重な史料だ。また同寺が所蔵する初代名誉市民の書家豊道春海(ぶんどうしゅんかい)の作品も特別展示される。15日まで。
同寺は真言宗智山派の古刹(こさつ)で、802年に大江常正(おおえつねまさ)が開基したと伝えられる。県内では珍しく文殊菩薩を本尊としており、那須与一(なすのよいち)ゆかりの寺としても知られる。
同寺は2021年、同像の模刻の制作を東京芸術大保存修復彫刻研究室の専門研究員らに依頼した。赤外線撮影などによる調査で像の底に「應永十七年」「於野州那須福原庄西小瀧観音堂之□」(□は判読不能)「真言談所妙徳寺之本尊也」などの記載が判明し、「応永17年(この仏像は)真言宗の教育機関である妙徳寺の本尊である」といった内容が読み取れる。
同寺の矢板真雄(やいたしんゆう)住職(56)は「那須地方における室町時代の真言宗の歴史をうかがい知れる」と話している。
春海の作品は、1964年に東京・日比谷公会堂で開催された「玄奘三蔵法師1300年記念式典」で掲げられた「般若心経八言連句」(縦4メートル、横66.5センチ×2点)をはじめ約50点が公開される。矢板住職は「郷土出身の偉大な書家をより多くの人に知ってほしい」と呼びかけている。
初日は午前10時から「御開帳開白護摩法要」を執り行う。午前9時~午後4時(最終日は3時)。入場無料。(問)矢板住職080.6756.8080。