“ヤジ排除問題”を追った1460日を描く ドキュメンタリー映画「ヤジと民主主義 劇場拡大版」予告

2023年12月9日より劇場公開される、ドキュメンタリー映画「ヤジと民主主義 劇場拡大版」の、本予告が公開された。

「ヤジと民主主義 劇場拡大版」は、2019年7月15日に起きた“ヤジ排除問題”を追った1460日を描き出したドキュメンタリー映画。安倍元首相の遊説中に市民が政権に異議をとなえたことで、警察によって移動させられた“ヤジ排除問題”。表現の自由や民主主義がおびやかされたとして、大きくメディアで報道された。その後、北海道放送が「ヤジと民主主義」というドキュメンタリー番組をテレビで放送し、ギャラクシー賞などの賞を受賞。2023年春には「TBSドキュメンタリー映画祭」にて「劇場版 ヤジと民主主義」のタイトルで上映された。

今作は、これまで描けなかった増税反対を訴えて排除された吃音を持ちながらも活動する女子大生(当時)、プラカードを掲げるために現場にきたがかなわなかった女性、現在も続く注目の裁判の経過など、多くの内容が取り込まれている。

また、本作を一足先に鑑賞した著名人によるコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】

■香山リカ(精神科医)
有権者のひとりとして、政治に積極的な関心を持ち、発言する機会があれば逃したくない。それは市民の当然の権利というより、むしろ社会の一員としての義務にも近い。いわれなき排除を受け、思いもかけず「原告」として裁判に立ち向かうことになったふたりこそ、“真っ当な市民”だ。

■松元ヒロ(芸人)
最初は「ヤジを飛ばしたくらいで、プラカードを掲げたくらいで警察官に排除されるそんな日本」と暗くなったのですが、映画を観ていると、段々と怒りに変わり、同じようにヤジを飛ばしたくなり、声を上げる彼らを見て「私たちも!」とプラカードを掲げる人々を見て泣きそうに。そして、みんなで「爆弾飛ばすより、ヤジを飛ばそう、声を上げよう、これが民主主義なんだ!」と元気が出てきました。勇気が湧いて、希望が見えてきました。
カメラで追い続けた北海道放送にも拍手!これぞ「放送法」に準じた番組!その映画化。
胸が熱くなりました。私もあきらめずに舞台で声をあげ続けるぞ!

■前川喜平(元文部科学事務次官)
「たかがヤジ」という話ではない。警察による身体の自由や表現の自由への明らかな侵害だ。
それはしっかりと映像に記録されていた。命令があればカメラの前でも躊躇なく人権を侵害する警察官たちの「素直さ」が恐ろしい。
検察は起訴せず、道知事も問題視せず、体制側は問題なしで済ませようとする。
しかしこれは自由と民主主義の根幹にかかわる問題だ。そこに鋭い警鐘を鳴らすのがこの映画だ。
テレビ放映版に比べ、劇場拡大版は札幌地裁と札幌高裁の判決を取材して、日本の司法の在り方にも切り込んだ。人権を尊重する当たり前の判決を書いた札幌地裁の裁判官に対し、道警を勝たせるため牽強付会の判決を書いた札幌高裁の裁判官。
この映画の続編の舞台は最高裁だ。

■大谷昭宏(ジャーナリスト)
言論を封鎖しようとした者は結果、自らの言論を永遠に圧殺されることとなった。
そのことに、いままでも、そしてこれからも、手を貸し続けるのはだれなのか。
このドキュメンタリーは、その答えを出している。

■吉田徹(同志社大学政策学部教授)
彼らが発したのは「ヤジ」などではない。「生きさせろ」という、私たち1人1人の声の代弁なのだ。
その声を取り上げては決してならない。私たちのためにも。

【作品情報】
ヤジと民主主義 劇場拡大版
2023年12月9日(土)より、ポレポレ東中野、シアターキノほか全国公開
配給:KADOKAWA
©HBC/TBS

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