巨大な星を育むわし座の“星のゆりかご” ハッブル宇宙望遠鏡で撮影

こちらは「わし座」(鷲座)の方向約7200光年先の星雲「G35.2-0.7N」です。G35.2-0.7Nは大質量星が形成されている星形成領域として知られています。星形成領域とはその名が示すように新たな星が形成されている領域で、“星のゆりかご”と表現されることもあります。

【▲ 星形成領域「G35.2-0.7N」(Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Fedriani, J. Tan)】

画像を公開した欧州宇宙機関(ESA)によると、星雲の大部分は塵を豊富に含む分子雲に隠されていて見通しにくいものの、誕生したばかりの原始星から放出されたジェットが星雲のなかに空洞を形成するとともに、原始星を包む繭のような塵の雲を突き破ることで原始星からの光を漏れ出させているといいます。

この画像は「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope:HST)」の「広視野カメラ3(WFC3)」で取得したデータ(赤外線のフィルターを使用)をもとに作成されました。赤外線は人の目で捉えることができないので、画像の色は取得時に使用されたフィルターに応じて着色されています(※)。ESAによると、ハッブル宇宙望遠鏡によるG35.2-0.7Nの観測は、原始星から放出されているジェットの電離度を測定する研究の一環などとして実施されたということです。

※…この画像では1.1μmを青、1.28μmをシアン、1.6μmを緑、1.64μmを赤で着色しています。

冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の“今週の画像”として、ESAから2023年10月2日付で公開されています。

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文/sorae編集部

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