ノーベル文学賞、日本人作家の受賞は? 吉報待つ書店やファン「信じている」「準備は今年で最後に」

吉報を信じて垂れ幕などの準備をするファンら=5日午後、神戸市中央区中山手通2、ピノッキオ

 今年のノーベル文学賞の発表が5日夜に迫った。日本人作家では、兵庫県西宮、芦屋市で育った村上春樹さん、西宮市在住の小川洋子さん、ドイツ在住の多和田葉子さんらに期待がかかる。神戸市内の書店では早くも、受賞に向けて特設コーナーを設置。村上さんゆかりの老舗ピザ店では、熱心なファン「ハルキスト」の集まりを前に準備に追われた。

 ジュンク堂書店三宮店(神戸市中央区)は村上さん、小川さん、多和田さんの作品を「新刊話題書コーナー」に集めた。中でも、毎年のように名前が挙がる村上さんについては、新作長編「街とその不確かな壁」など7作品を選んで後押しする。

 「今年は新刊も出て、受賞に向けて弾みになる」と話すのは、文芸書担当の三瓶ひとみさん(58)。「新刊を読んで、新型コロナで希薄になった人とのつながりを考えさせられた」と振り返る。

 三瓶さんは、小川さんの作品を「文学という枠にとらわれない世界観で、海外にも認められる作風」と表現。「日本人作家の受賞を心のどこかで信じている」と祈りを込める。

 堀内理店長は「もし兵庫に関係する人が受賞すれば、書店に足を運んでもらうきっかけになる」と期待する。

 村上さんのエッセーに登場する神戸市中央区のピザ店「ピノッキオ」では5日夕、オーナーの山中崇裕さん(68)や長年のファンが準備を急いだ。「今年でこの準備が最後になるといいね」と山中さん。発表を前に、店内で「ハルキスト」らが吉報を待ちわびる予定だ。

 文学賞の発表は5日午後8時以降の予定。 (千葉翔大、鈴木雅之)

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