円安が加速…いつまで? 県内経済への影響は?(静岡県)

10月に入り一時、1ドル=150円台の値を付けるなど円安が加速していて、その影響は静岡県内にも及んでいます。

10月3日 夜、円相場は約1年ぶりに、大きな節目となる1ドル=150円を突破しました。その直後、円の買い戻しにより147円台まで値を戻すなど、激しい値動きとなりました。5日午前、東京外国為替市場の円相場は、1ドル=148円台後半で取引されるなど円安が続いています。その影響は県内のレストランにも…

(グラデボール 櫻田 裕二オーナー)

「生ウニのクリームソースになります」

チリ産のウニをはじめ、イタリア産の小麦粉やオリーブオイルなど輸入食材を多く扱うこちらの店は。

(グラデボール 櫻田 裕二オーナー)

「もろに影響がある、ほとんどの食材が1.3倍から1.5倍ほどの値段になっていて、経営的に厳しい」

春にメニューの一部を値上げしましたが、さらに円安が進み、値上げが追い付いていない状況だといいます。

(グラデボール 櫻田 裕二オーナー)

「一回値上げしても、また値上げが繰り返されているので、飲食店として原価計算するが、計算してもまた変わるので、正直どのくらいのコストがかかっているか把握できていないというのが本音」

一方、静岡市で約500種類の輸入ワインを取り扱う店では…

(ヴィノスやまざき商品部 保坂 清仁 部長)

「円安の影響は大変だが、当社もかなり努力をして頑張っている」

この店では「円安」が続くことから、一部の輸入ワインを80円値上げ。本来ならばセール販売したい輸入ワインも、値段を据え置いている状況です。

(ヴィノスやまざき商品部 保坂 清仁 部長)

「円安が長く続くと、影響が出る可能性があるが、アメリカやフランスよりオーストラリアのワインが人気だったりする」「為替の影響が少ない国の物をよりお得な値段でお届けしたい」

止まらない「円安」、専門家は日米金利差の拡大が要因の1つだと言います。

(静岡経済研究所 恒友 仁 専務理事)

「一番大きな要因はドル円相場」「日本とアメリカの金利差がどんどん拡大している状況、拡大するだけでなく、長期化する見込み、それで円安が進行している」「高い金利の方に資金が流れてしまうので、ドルを買い、円を売ってドルに資金を集中させ、円安が起こっている」

止まらない円安ですが、いつまで続くのでしょうか。静岡経済研究所の恒友仁専務理事によりますと、日本はほとんどの物を輸入に頼っている状況で、食料は6割以上、エネルギーは8割以上が海外から輸入されたものだと言います。ウクライナ侵攻の影響などで、資源価格が上がる中、「円安」の影響も重なるというダブルパンチで輸入価格が上がり、身の回りの物の値段が上がっているのです。このため、特に原材料を輸入に頼っている中小企業は影響を受けているということです。一方、県内の輸出企業は「円安」の恩恵を受け、収益環境が良くなっているということです。

一体、円安はいつまで続くのか…ですが、専門家は少なくとも2023年いっぱいは「円安」が続くとみています。「円安」が緩む大きなポイントとなるのが「アメリカの経済がいつ減速するか」「日本の金利がいつ上がるか」です。今後、日本の賃上げが継続的に行われていく環境になれば、日本の金利が上がり、「円安」が緩むと見込まれていますが、その時期は、早くても2024年の春、夏以降だと見ています。

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