思わぬ横やりはクマ 国産飼料増産を担うトウモロコシ畑で被害 収穫を早める対策も

輸入飼料の価格が高騰する中、国は、国産飼料の増産に取り組んでいます。県内でも庄原市で関連の実証実験が行われています。ところが、収穫期を迎えクマの出没が農家を悩ましていました。

標高およそ800メートル。広島県庄原市高野町にある農業法人「vegeta(ベジタ)」の畑です。専用の収穫機でデントコーンを刈り取って行きます。農家にとって魅力は収穫しながら実と茎と葉を粉砕できることです。先端技術を活用した国のスマート農業・実証実験の現場です。

柴田和広記者
「ここには合わせて13へクタールのデントコーンの畑があります。実は去年は、キャベツ畑だったそうです」

vegetaは県内一のキャベツの生産者です。毎年、同じ畑でキャベツを作ると連作障害を起こすため間に植える作物を探していたところ、知り合いの酪農家から勧められたのがデントコーンでした。

この日、収穫作業をしていたのは、実証実験のメンバーでもある酪農家の田川吉男さんです。田川さんは庄原市東城町で「トールファーム」という牧場を経営しています。2022年からvegetaの畑で採れたデントコーンをエサとして使っています。

トールファーム 田川吉男社長
「やっぱり自給飼料の強さっていうのが、海外輸入であったり、情勢に左右されないのが一番のメリット。(Q.デントコーンの魅力は?)栄養価の高い。あとは嗜好性が非常にいい」

田川さんの牧場では、エサの半分を海外からの輸入飼料に頼っています。ロシアによるウクライナ侵攻後、価格が高騰する中田川さんは輸入飼料を少しでも減らしデントコーンで補う計画でした。

ところが、横やりを入れたのがクマでした。

トールファーム 田川吉男社長
「これがクマの被害ですね、クマがかじった跡」

畑の周りのフェンスにはクマがよじのぼった跡がありました。田川さんは、付近の道でクマを目撃したこともあったそうです。被害はまだ一部ですが、クマに食べられる前に刈り取ろうと、実が十分熟す前の収穫となってしまいました。

高野町以外の畑では、イノシシやシカの被害を受けていて鳥獣害対策は急務です。それでもvegetaの谷口社長はやる気満々です。

vegeta 谷口浩一社長
「中山間地で、いい作り方・方法というのを新しい方法を導入して、これからもなるべく面積を増やして、安定した供給が出来ていくことが、今後ますます必要になって来る部分だと思います」

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