【MLB】昨年のNL王者フィリーズが危なげなく勝利 マーリンズを寄せ付けず

写真:6回裏一死満塁、ブライソン・ストットが満塁ホームランを放つ

短期決戦では何が起こるかわからない。そんな言葉をあざ笑うかのような快勝で、フィリーズがディビジョンシリーズへコマを進めた。

前日ザック・ウィーラーの好投で快勝したフィリーズはアーロン・ノラが先発を任された。2017年以来7年連続の規定投球回をクリアしている生え抜き右腕にシリーズ突破のかかる一番を託す。右投手の割に球速はないが、シュート成分の大きいストレートと多彩な変化球を組み合わせる技巧派寄りの投手だ。

一方後がないマーリンズの先発はブラクストン・ギャレット。2017年にドラフト全体7位指名で入団後、故障などに悩まされながらも今季先発ローテーションに定着。159イニングを消化した苦労人だ。球速こそないものの多彩な変化球を投げ分け、もしあと3イニング投げて規定投球回に到達していればMLBで4番目に四球を出さない規定投球回到達者となっていただろう。

初回は両チーム3者凡退。両投手ともに難なく立ち上がり、投手戦の様相を見せた。

試合が動いたのは3回裏。フィリーズの先頭打者クリスチャン・パチェが四球で出塁すると、一死から1番のカイル・シュワーバー。本来苦手とする左投手のギャレットから一塁線を破る痛烈なツーベースヒットを放ち、一点を先制する。さらに2番のトレイ・ターナーもライト前ヒットで続き、今日もフィリーズが先制する展開となった。

負けたら終わりのマーリンズは3回でギャレットを諦め、4回裏に早くも二番手デビッド・ロバートソンを投入。クローザーも務める経験豊富なベテランの登板でフィリーズの攻撃を封じ込めようとするが、これが裏目に出た。この回先頭のJ.T.リアルミュートが追い込まれたあとの7球目、やや甘く入ったカッターをジャストミート。大飛球は赤一色に染まったスタンドに吸い込まれ、3点目となった。

援護をもらったノラは三振こそ少ないものの、丁寧に打たせて取るピッチングを展開。7回まで投げ、被安打はわずか3。ピンチらしいピンチを作ることなく、チームのディビジョンシリーズ進出へ向けこれ以上ない投球をもたらした。

そして打線もノラの好投にバットで応える。6回裏には一死満塁からブライソン・ストットが試合を決定づけるグランドスラム。好守両面でマーリンズを圧倒した。

マーリンズは9回表、ジョシュ・ベルのタイムリーヒットで1点を返したものの反撃はここまで。最後はジャズ・チザムが三振に倒れ試合終了。フィリーズが二連勝で、ディビジョンシリーズ進出を決めた。

結果としてみれば攻撃・守備両面でフィリーズがマーリンズを圧倒した2試合だった。

投手力の面ではそれほど差がないと見られた二球団だったが、特に攻撃力の差は圧倒的だった。シュワーバー、ターナー、アレク・ボーム、そしてブライス・ハーパーへとつながる打線の破壊力は圧倒的で、次に待ち受けるブレーブスにとっても脅威となるだろう。

また、フィリーズが守りの面でもかなりのレベルにあることを示したのがこのシリーズだっただろう。例年救援陣と守備に大きな課題を抱えたチーム構成が特徴だったフィリーズだが、救援陣は2試合4 1/3イニングで1失点。また、守備でもパチェ、ロハス、ストットといった守備の名手がスタメンに名を連ね、大きく安定感を増した。昨年は取り逃がしたチャンピオンズリングを掴むため、チームは大きくパワーアップを遂げている。

一方敗れたマーリンズはまだまだ力不足、発展途上感が最後まで否めない戦いとなった。エースのサンディ・アルカンタラを欠いたことも痛かったが、勝ち上がるためにはそれ以上にチーム全体としてのスケールアップが求められそうだ。

とはいえ現在のマーリンズは徐々に育成段階を終え勝負期に差し掛かる過渡期。そもそも今シーズンプレーオフまでたどり着けたこと自体が幸運であり、今後に向けた大きな経験値とプラスに考えるべきだろう。来季期待の若手が大きく成長し、強豪を脅かすレベルになってプレーオフに帰ってくることを楽しみにしたい。

勝ち上がったフィリーズは2日の休養ののち、日本時間10月8日から宿敵・ブレーブスとのディビジョンシリーズに挑む。

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