〔国内〕2023年9月の災害を振り返る

2023年9月に発生した国内での大規模な災害、事故・事件の案件について振り返ります。

※被害の内訳については、原則的にレスキューナウによる情報取りまとめ時のものです。それぞれの記事の最終更新日以降の状況については反映されていないことがあります。

●9月
【自然災害】台風13号が接近 関東・東北地方で記録的な大雨
[被害]死者3人 負傷者21人 建物被害約3800軒
2023年9月5日21:00、日本の南で台風13号が発生した。台風は日本の南海上を北上し、8日には東海道沖に接近した。8日午前には東京都伊豆諸島や静岡県などで非常に強い風が吹き、東京都三宅坪田で31.4m/s、静岡県石廊崎で31.1m/sの最大瞬間風速を観測した。その後、同日21:00、上陸する手前で熱帯低気圧に変わった。
この台風の影響で、南から暖かく湿った空気が流れ込み、台風の中心から離れた地域で雨雲が発達して大雨となった。特に8日から9日にかけて、伊豆諸島、千葉県、茨城県、福島県を中心に猛烈な雨が降り、1時間雨量が東京都三宅坪田で123.5mm、千葉県大多喜で109.5mm、茨城県日立で93.0mmなど、観測史上1位の値を更新する記録的な大雨が各地で観測された。また、8日には伊豆諸島南部、千葉県、茨城県、福島県で線状降水帯が発生し、3県の7市町に一時、緊急安全確保(警戒レベル5)が発令された。
この大雨の影響で、福島県、茨城県、千葉県では河川氾濫も発生、福島県を流れる前川では堤防が決壊した。土砂災害も各地で発生し、茨城県日立市では一時孤立する集落が発生した。千葉県では小湊鉄道といすみ鉄道の線路周辺で倒木や土砂崩れなどが発生したため、10月上旬時点でも一部区間で運行できない状況が続いている。
この台風で、福島県と茨城県で3人が死亡、福島県と関東4県で21人が負傷した。また、住家約3800軒に浸水や損壊等の被害が発生した。

【地震】トカラ列島近海で地震相次ぐ 5日間で最大震度1以上の地震発生が300回超
[被害]なし
2023年9月8日から12日にかけて、鹿児島県十島村のトカラ列島近海で最大震度1以上を観測する地震が332回発生した。このうち9月9日02:28にはM4.9、11日00:01にはM5.3の地震が発生し、悪石島で震度4を観測した。いずれの地震でも、直接の被害や津波発生のおそれは無かったが、村役場が防災無線で警戒を呼びかけた。政府の地震調査委員会は「今後1か月程度揺れが続く可能性がある」とし、気象庁は当分の間強い揺れを伴う地震への注意を呼びかけた。震度4を観測した悪石島では避難の準備が進められたが、住民からは続く揺れに対する不安を訴える声も出た。
13日以降地震の発生回数は減少したものの、その後も19日に小宝島で震度3を観測する地震が発生するなど断続的に発生した。
トカラ列島では今年の5月13日にも中之島で震度5弱を観測する地震が発生している。またトカラ列島周辺では、2021年4月と12月にも連続して地震が発生し、このうち4月にはM5.3の地震が2回発生しいずれも最大震度4の揺れを観測したほか、12月にはM6.1の地震が発生し悪石島で震度5強を観測していた。

【システム障害】東京航空交通管制部の管制システムで障害 航空ダイヤに乱れ
2023年9月29日11:40頃、埼玉県所沢市にある国土交通省の東京航空交通管制部で、管制システムに障害が発生し、12:20頃にシステムの復旧および飛行制限が解除されるまで約40分間にわたり各地の空港で離着陸が一時できない状態となった。
障害が発生した管制システムは「航空路管制処理システム」(TEPS)と呼ばれるもので、管制官が管轄空域の航空機を把握するため、飛行中の航空機の位置情報に加え便名、高度、機種名などの情報を文字で表示させるものとなっている。
今回の障害では、航空機の位置は表示されていたものの、便名や高度などの情報が表示されないといった不具合が発生した。東京航空交通管制部は東北地方から中国地方にかけての空域を管轄しており、この障害を受けて管轄空域に航空機が入らないよう飛行制限をかけるとともに、飛行中の航空機については機体同士の間隔をあけるなどの措置が取られた。
この障害により、羽田空港や成田空港をはじめ東日本の空港を発着する便を中心に100便以上に30分以上、最大で1時間18分の遅れが出た。システム障害の原因については国土交通省が調査を進めている。

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