「笑顔がかわいい娘。私たちの希望だった」…保育所ですりおろしリンゴを食べた6カ月女児は「なぜ死んだのか」 事故から半年、父親が思いを語る

ぬいぐるみを持参し記者会見で女児への思いを話す父親=5日、鹿児島県庁

 鹿児島県姶良市の認可保育所「興教寺保育園」で4月、すりおろしたリンゴを食べた6カ月の女児が約40日後に死亡した問題で、女児の父親は5日、鹿児島市の県庁で記者会見した。姶良市が設置している検証委員会に対し「娘が亡くなった理由を知りたい。原因究明を優先してほしい」と訴えた。

 発生当時は「なぜうちの子がこのような目に遭わなければならなかったのかという気持ちだった」と振り返った。女児のいない現実がつらく、服などを見る度に泣いていたという。半年が過ぎ「妻が『抱っこしたい、会いたい』とふとした瞬間に言うことがある。自分も同じ気持ち」と心境を語った。

 女児について「笑顔がとてもかわいい娘で、私たちにとって希望だった」と述べた。掛けたい言葉を聞かれると「守れなくてごめんなさいとしか言えない」と涙を拭った。

 会見では、女児が生まれた時に買ったという誕生月が書かれたクマのぬいぐるみが机に置かれた。「一緒にお祝いできたらと思って買ったが、かなわなかった」と話した。

 園や姶良市による事案発生後の対応が「遅かった」とも指摘した。

 園側は、遺族の会見に合わせて「あらためて心よりお悔やみ申しあげる。事実関係の調査・再発防止に向けた取り組みを引き続き行っていく」とコメントした。

 園によると、4月18日午後3時半ごろ、女児におやつとして麦茶とすりおろした生のリンゴを与えた後、あおむけに寝かせたところ急変した。意識不明の重体が続き、5月28日に死亡した。

死亡した女児が通っていた姶良市の認可保育所

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