神奈川県警押収の犬猫80匹行方不明 愛護団体の男性が県を提訴へ 「生死さえ教えてもらえない」 

押収された犬などの写真が掲載されている団体作成のファイルを見ながら「ちゃんと説明してもらいたい」と話す代表の男性

 動物虐待の疑いがあるとして県警が動物愛護団体のシェルターから押収した犬や猫計約110匹のうち約80匹の行方が分からなくなっている問題で、この団体の代表で犬猫を所有する男性が近く、県に損害賠償を求めて提訴することが5日分かった。男性は「押収された犬の中には私個人が飼っている愛犬もいる。2年も離ればなれで、所在だけでなく生死さえ教えてもらえない。返してほしい」と訴えている。

 押収物について刑事訴訟法(123条)は、留置の必要がなくなれば事件終結前でも所有者に返還しなければならないと定めている。男性の代理人弁護士は「県警には再三にわたり返還を求めてきたが、全く応じてもらえない。さらに、約80匹の所在が分からなくなっていることも判明した。法的措置をとるしかないと判断した」と話している。

 県警によると、動物保護活動を行っている個人などから「犬をたたいている」などと告発を受け、藤沢北署が動物愛護法違反(虐待)の容疑で2021年9月に動物愛護団体「レスキュードアニマルネットワーク」(横浜市神奈川区)のシェルター(藤沢市石川)を家宅捜索し、犬と猫計107匹を押収した。

 署によると、告発した女性と関係のある動物愛護団体と「管理委託契約」を結んだ上で107匹を預けたが、同団体はその後に分裂。3匹は押収後に死亡し、現時点で署が把握できているのは24匹にとどまる。行方の分からない80匹について、同団体から個人をたどるなどして探しているが、所在を突き止めるには至っていないという。 

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